緑豊かな自然環境を持つ岩手県宮古市。東北地方の各地に大きな爪痕を残した東日本大震災は、この町にも大きな被害をもたらしました。閉伊川の河口側にあった市役所も、庁舎の2階部分にまで津波が押し寄せ、建物の一部は機能を失いました。
2018年、市内の中心部に待望の庁舎がオープンしました。本州最東端のまちという立地に由来するeast(東)に、親しく呼びやすい名称を組み合わせて「イーストピアみやこ」と名付けられた新たな庁舎は、庁舎機能に市民交流センターと保健センターを融合した、複合施設です。
議場は市本庁舎の5階にあります。各席の配置や傍聴席エリアの高さは、傍聴席に座る市民から議員の表情が良く見えるように設定しました。議場家具は床に固定することが多いですが、今回はあえて固定をせず、フロアに置くだけに留めました。これは、いざという時には家具を動かして、議場空間を他の用途に利用するためのアイディアです。
イーストピアみやこの1~2階には、市民交流センターが設けられています。2階フロアにある多目的ホールは、一般市民が利用しやすい最大180席のキャパシティです。客席は、さまざまなイベントや市民活動に対応できるよう、展開・収納できる移動観覧席が採用されました。ステージも必要に応じて収納ができるため、多様な空間活用が期待されています。