地域と人々をつなぎ、まちの賑わいを生み出す
これからの庁舎のあり方

2023.02.16
事例特集

行政活動の拠点として、日々わたしたちの暮らしを支える庁舎。
近年では、役所機能と文化交流施設を融合した複合庁舎が増え、今まで以上に地域住民の生活に寄り添った身近な場所へと変化を遂げてきています。
さまざまな文化交流・活動の場となるスペースや、災害時の防災拠点など、地域のいくつかの機能を庁舎に集約することで、気軽に集うことのできる新たな拠り所となることが期待されます。
地域と人々をつなぎ、まちの賑わいを生み出すこれからの庁舎へ。
誰もが利用しやすく、すべての地域住民に開かれた場を目指して誕生した施設をご紹介します。

緑豊かな自然環境を持つ岩手県宮古市。東北地方の各地に大きな爪痕を残した東日本大震災は、この町にも大きな被害をもたらしました。閉伊川の河口側にあった市役所も、庁舎の2階部分にまで津波が押し寄せ、建物の一部は機能を失いました。
2018年、市内の中心部に待望の庁舎がオープンしました。本州最東端のまちという立地に由来するeast(東)に、親しく呼びやすい名称を組み合わせて「イーストピアみやこ」と名付けられた新たな庁舎は、庁舎機能に市民交流センターと保健センターを融合した、複合施設です。

議場は市本庁舎の5階にあります。各席の配置や傍聴席エリアの高さは、傍聴席に座る市民から議員の表情が良く見えるように設定しました。議場家具は床に固定することが多いですが、今回はあえて固定をせず、フロアに置くだけに留めました。これは、いざという時には家具を動かして、議場空間を他の用途に利用するためのアイディアです。

イーストピアみやこの1~2階には、市民交流センターが設けられています。2階フロアにある多目的ホールは、一般市民が利用しやすい最大180席のキャパシティです。客席は、さまざまなイベントや市民活動に対応できるよう、展開・収納できる移動観覧席が採用されました。ステージも必要に応じて収納ができるため、多様な空間活用が期待されています。

02すべての町民に開かれた施設を目指して

与那原町役場 議場
与那原町上の森かなちホール

2021年5月6日、与那原町役場が開庁しました。誰もが利用しやすいユニバーサルデザインを考慮し、防災拠点機能も兼ね備えた新庁舎です。
庁舎の隣には「上の森かなちホール」が併設され、庁舎と連動した催しも可能な複合施設となっています。

庁舎4階にある議場は「町民に開かれた議会」をコンセプトにつくられました。室内は重厚感がありながら、モダンで明るい雰囲気です。並ぶ議場家具は、机もイスも床に固定されたタイプが選ばれました。
中央の発言台は天板の高さ調節ができる仕様です。使う人を選ばず、軽い力でワンタッチ操作ができるユニバーサルデザインです。
議員席の後方には傍聴席と記者席が並び、車イスのまま傍聴できる充分なスペースも確保されています。誰でも参加しやすい、町民に開かれた議会のための工夫です。

「上の森かなちホール」には、幅広い利用を可能にするために、電動式移動観覧席が導入されました。ボタン操作だけで階段状の客席が展開・収納できるため、本格的な客席と平土間の利用をひとつのホールで実現できる製品です。スタッキングチェアと合わせて使用することで、よりフレキシブルな空間利用が可能です。災害時には避難施設としても機能し、町民の命と暮らしを支えます。

03市民が利用しやすい南城市のシンボル

南城市役所 議場大会議室・保健センター

南城市役所は、2018年5月に開庁しました。旧庁舎では2箇所に分散されていた庁舎機能が集約され、より市民が利用しやすい新市庁舎となっています。

議場は、白木を基調とした明るく柔らかな印象の空間です。
向かい合う議員席と執行部席は、それぞれ議場の中央を向くように配置されました。議長席は、議場全体が見渡せるよう、フロアより60センチほど高い場所に位置します。
白木の議場机に合わせて選ばれたのは、シャープなフォルムの議場イスです。車イスでも利用できるよう、議員席と執行部席それぞれにキャスター付きのイスも導入されました。 議員席の後方には傍聴席が並び、その奥にはガラスで仕切られた親子室が設けられました。誰もが傍聴しやすい環境の、開かれた議場です。

レストランや保健相談室の近くに設けられたのは、大会議室と保健センターです。保健センターは今まで、庁舎とは別の場所に位置していました。新庁舎では健康増進課や生活環境課の執務エリアの近くに設けられたことで、利便性がぐんと向上し、市民や働く人にとっても利用しやすくなりました。
大会議室の壁面に備え付けられているのが、収納式のステージFS−800です。手動式のため、必要な時にスムーズかつ安全に舞台を作り出すことができます。

04市民が立ち寄りやすい、新たな交流拠点としての庁舎

新発田市役所(ヨリネス新発田) 議場

新発田城をシンボルとする新潟県北部の城下町、新発田市。新市庁舎は、周辺の商店街や住民を結びつける新たな交流の拠点として、多くの来訪者を導き、まちなかのにぎわいを生み広げることで、市全体の魅力を高めることを目指しています。

議員席と傍聴席の間のなだらかな弧を描いた仕切りが四角い空間の中で特徴的な議場は、議会以外にも使用することを想定した多目的議場です。議場に必要な設備以外にも、150インチのスクリーンや音響設備、可動ステージを備え、旧庁舎でも行っていた議場コンサートや、映写会の会場としても利用できます。

議会机や議場イスは全て移動式を導入しました。すっきりとしてシンプルなデザインの机は、空間に合わせて、理事者側は長方形、議員側は台形の形状。2席もしくは3席分が一体となっており、収納時は専用の台車に入れます。議場専用のキャスターイスは、背もたれを座面の上に倒して専用台車に入れることで収納できます。それぞれ、議場より1段上がった傍聴席フロアの下に収納することで、平土間空間が出現します。

議場家具を収納しスタッキングチェアを並べると、イベント会場に早変わり。更には、傍聴席後ろのスライド式の壁を開くことでラウンジとその先のテラスとも一体となった空間が出現。結婚式にも使うことができます。

※この記事は、過去に掲載した納入事例記事をテーマごとにご紹介しています。

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