至極の舞台芸術が体感できる“ハレ”の場
2023年9月1日、岡山市民待望の施設「岡山芸術創造劇場ハレノワ」がグランドオープンしました。
オペラやコンサート、演劇、ダンスなどの大型公演から、伝統芸能、ポップス、ロックまで多彩なジャンルの演目に利用される大劇場は、至極の舞台芸術が体感できる“ハレ”の場です。奥行き16.7mの舞台と、最新の技術を取り入れた舞台設備により、大型の舞台芸術の上演と多彩な演出を実現します。木材を多用した内装と華やかな色合いの客席が相まって、“ハレ”の場にふさわしい煌びやかな雰囲気を創り出しています。
どの席からも舞台が観やすい客席
3層に積み重なった1753席の客席は、舞台を取り囲むように緩やかな弧を描いて配置されました。どの席に座っても舞台が見やすいよう、細やかな配慮がされた客席です。
1層目の中央ブロック前方の席は、前列と後列の席を交互にする千鳥配置にすることで、より見やすさを高めました。2層目と3層目の最前列の両端付近は、端の席に向かって下降するスロープ床になっています。その先にあるバルコニー席の床も、舞台に向かって下がっています。そうすることで、前方の席は舞台により近くなり、後方の席は舞台への視線が通りやすくなります。着席時に違和感がないよう、イスはその場所の条件に合わせて座面と脚部の高さを調整しています。
2層目と3層目のバルコニー席は、個席にしました。見えにくいと敬遠されがちなバルコニー席ですが、個席にすることで手摺近くにイスを設置でき、着席時に舞台を正面に捉えられることができるため、見やすさが高まるのです。
快適な鑑賞環境をつくりだす、ハレノワのためのイス
イスは、ホールド感が特徴の
Unizon（ユニゾン）をベースにアレンジしました。背は上部に向かってややすぼまりをもたせ、緩やかな丸みのあるトリミングを施しています。隣り合うイスとの隙間が広くなることにより、圧迫感が少なく、ほどよい抜け感のある客席に仕上がりました。席番プレートは、背板の正面と木口に沿うL字型にすることで、席を見つけやすいよう工夫しています。
座には「
スペーシア」を採用しました。先端に向かって薄くなる形状により、着座時の足の自由度を高め、足元空間を広く確保できるのが特徴です。足を深く引きこめることで、立ち座りの動作もスムーズに行えるユニバーサルデザインの座です。内部には、コトブキシーティングの長年の研究により開発されたオリジナルの波形スプリングが内蔵されており、長時間の着座でも快適に過ごせます。
客席を華やかに演出しているのは、
株式会社FABRIKOによるオリジナルデザインのテキスタイルです。「晴れの国おかやま」をテーマに「昼の晴れ」を表現したハレノワのためのデザインです。照明が当たると煌びやかに反射し、劇場を一層優雅にしています。張地の詳細については、
こちらをご覧ください。
急勾配の2層目の客席では、通路側のイスの端部に手掛け棒を設置しました。通行時に手を添えることで歩行者に安心感が生まれる手掛け棒は、背板に直付するのではなく金物でつなぐことで、着席者の頭部とほどよい距離を保ちます。勾配がさらに急な3層目では、イスとは独立した手摺が設置され、観客の安全を守っています。
客席の後方には、親子室・同時通訳ブースとしても利用できる多目的室が設けられました。ここには、フレキシブルな使い方ができるホール用スタッキングチェア
HARUチェアを設置。劇場イスと比べても遜色ないクッション性と座り心地、佇まいのあるデザインです。張地を揃えることで、劇場全体の統一感を確保。多目的室のほか、車イス席の同伴者用としても用意されています。
施設概要
岡山芸術創造劇場ハレノワは、かつて芝居小屋や映画館が並ぶ娯楽の町として賑わい、エンターテインメントの伝統を持つ「千日前」と呼ばれる地域に、岡山市民会館と岡山市立市民文化ホールの機能を併せ持つ施設として生まれました。愛称の「ハレノワ」は、市民からの公募で決まったもの。非日常の舞台空間である「ハレ」の場を日常の中で創っていく劇場であり、ハレの輪を岡山の街に広げられる、市民にとって身近な劇場であるように、との想いが込められています。
コンセプトは「魅せる」「集う」「つくる」。文化芸術の創造・発信を通して、文化芸術に親しむ市民、未来の劇場を支える劇場人、アーティストを育てるとともに、まちの賑わいの創出にもつなげ、心豊かで活力ある地域社会づくりを目指しています。
大劇場のほか、生音を感じられる
中劇場、多彩な舞台芸術を創造する
小劇場、
アートサロン、
練習室などを備えています。オープンスペースでは国内外のアーティストのアートワークが展示されているなど、市民が気軽に足を運べる施設です。