宛平劇院
多目的ホール

2022.02.10
多目的ホール(可動席)

施設説明

各分野で世界のトップブランドを採用した劇場

元々は1988年に作られた宛平劇院ですが、5年の改装によって外観と内部ともにも大きな変化を遂げました。舞台設計には、半世紀以上にわたり、全世界で高く評価されてきたイギリスの劇場デザインコンサルティング会社、TPCのデザインが採用され、さまざまな新しい様式の演出が実現できる舞台が整いました。一方、照明、音響そして舞台装置はそれぞれ、ETC、Meyer Sound, WAGNERなどのブランドが取り入れられ、伝統芸術を最新のテクノロジーで見せる狙いが感じられます。そして、劇場の観客に最高の座り心地を提供できるよう、イスのブランドにはコトブキシーティングが選ばれました。

簡単な操作で、劇場にも平土間にもなる多目的ホールを実現

“戏·聚空间”多功能演艺厅(『集まる空間』多機能演芸ホール)と名付けられた多目的ホールは、その名の通り、様々な使用方法を叶えるイスとして移動観覧席が採用されました。簡単な操作で壁面に収納ができ、用途に合わせて多様なレイアウトを創ることが可能です。スタジアムやアリーナ、体育館などの会場を中心に、様々な催しに対応することができます。正面の壁には大型のLEDモニターが設置され、さまざまな用途に活用できるようになっています。

部屋と一体化した移動観覧席

座席からの見やすさを考慮し、客席後方に行くに従って段差が大きなすり鉢状に近くなるよう、2段階に段差を設定したイスは合計で209席。後ろ2列は、一人分間口寸法を小さくし、必要な席数を確保しています。また客席状態でも、平土間状態でも使用できる移動観覧席は、段の出し入れは電動で操作し、イスは手動で上げ下げするセミオートタイプが選ばれました。

安全で楽に展開と収納ができるように、4席1セットとなっているイスの起立、転倒は、ダンパーにより軽い力で操作ができます。また離席時には、コンパクトにたたまれて広い通路を確保でき、着席時には背と座が座りやすい角度にひらくタイプの搭載イスCS-01が採用されました。

デザイン面では、劇場全体のテーマである扇のモチーフを片側のガラス張りの壁面に見てとることができます。また見た目では移動観覧席と分からないよう、両側の壁いっぱいに幅をとり、転落防止の手摺を付けなくても、安全性が確保され、また室内との一体感を生み出すデザインとなっています。

写真提供者:上海同済大学建築設計研究院
写真撮影者:馬元

施設概要

中国経済の心臓部、上海市の中心に交差する中山南二路と宛平南路でひときわ目を引く宛平劇院。中国の伝統芸能、戯曲のシンボルである扇形を取り入れたデザインが、伝統の中にも目新しさを感じさせます。元々1988年に竣工した宛平劇院は、今回のリニューアル改修のため、5年近くの休業期間を経て、2021年6月に上海の新たな伝統芸能のシンボルとして再開を果たしました。

居室データ

施主
上海市宛平劇院
設計
同済大学建築設計研究院(集団)有限公司
オープン
2021年6月
席数
209
写真提供者
上海同済大学建築設計研究院
写真撮影者
馬元