音楽家のための特別なパートナー
上質な音楽環境をサポートするオーケストラチェア

2023.07.20
製品特集
オーケストラが壮大な交響曲を奏でるクラシックコンサート。
目の前で生の音が紡がれていく迫力に、魅力を感じている人も多いのではないでしょうか。

コンサートホールの客席イスを数多く手掛けているコトブキシーティングですが、実はステージ上のとあるイスも手掛けているのをご存じですか?
それが、演奏者のためのイス「オーケストラチェア」です。

客席だけでなく、演奏者の方々が座っているイスにも、オーケストラの演奏を支えるさまざまな工夫が秘められています。
今回は、音楽家のための特別なパートナー「オーケストラチェア」の魅力をご紹介します。
 



「演奏者のためのイス」 誕生のきっかけはサントリーホール


撮影協力:サントリーホール、NHK交響楽団

コトブキシーティングのオーケストラチェアは、全国各地のコンサートホールや音楽ホール、音楽大学のホール・スタジオで、長年にわたって多くの演奏者に親しまれてきました。10年以上使用できる耐久性と、座り心地を備えており、プロ・アマチュア問わず多くの音楽家から高い評価を得ています。

オーケストラチェアの歴史のはじまりは、遡ること37年前の1986年。東京で最初のコンサート専用ホールである「サントリーホール」の開館をきっかけに誕生しました。
それまで、オーケストラ用のイスというものはなく、演奏者はパイプイスを使用していました。サントリーホールの開館を機に、演奏者の声を反映し、より心地良い演奏環境を提供するために開発されたのが、コトブキシーティングのオーケストラチェアです。

当時コトブキシーティングでは4種類の試作品を作りました。各楽団の演奏者の皆さまにも座り心地を試していただき、試行錯誤の結果、現在のオーケストラチェアが採用されました。

動きのある演奏姿勢をしっかり支える重厚さ

オーケストラチェアに求められるのは、演奏者が疲労感を感じることなく、心地良く演奏できることです。
観覧を目的とした客席のイスと違い、演奏は動きを伴います。
そのため、十分な重量と安定感がないと、演奏中の体重移動で不意にイスがズレることもあるのです。

コトブキシーティングのオーケストラチェアは、通常のイスより肉厚な鋼管を使用しているため、イス本体に重みがあります。さらに脚をループ状に曲げることで、4本脚のイスよりも安定感を作り出し、しっかりと演奏動作を支えます。
きしみ音や横揺れを気にせず、安心して演奏中の身をゆだねられる重厚なイスです。


演奏者によってイスの座り方はさまざま

演奏者によって座りたい位置や角度はさまざまです。
一般的なイスは、座面の中央部にやや窪みを設け臀部の丸みへのフィット感を高めますが、コトブキシーティングのオーケストラチェアは水平な座面が特長です。
さらに座の芯材を通常よりも厚めにすることで、真っ平らな座面のたわみを少なくし、安定感を高めています。
このように座面が水平で座る位置を選ばないため、楽器や曲、演奏者の好みによって腰掛ける深さ・浅さの調整が可能です。
また、背・座はビニールレザー張りでクッション性と通気性に優れているため、長時間の着座でも快適な座り心地を提供します。程よい硬さもあり、身体が沈みこむことなく、演奏者それぞれの自由な姿勢をサポートします。


ステージ上に馴染む、シンプルで機能的なデザイン

黒のパイプフレームで構成された、シンプルでスタイリッシュなデザインがステージ上に馴染みます。
オーケストラチェアは、演奏者を支える陰の存在です。演奏時に極力目立たないよう、黒を基調としたマットな質感の塗装を施しました。演奏者の衣装と溶け込み、グランドピアノと並んだ際にも美しく調和します。
背もたれには、パイプフレームを生かしたさりげない手掛け機能もついています。自然に手をかけやすく、イスを移動させる際にも引きやすく便利です。
また、背と座の間にある空間も特長の一つです。通常のイスでは、背の上部や座の後部は、布地の張り部分とフレームのグレード感を高くするため、隙間が出ないように設計します。
しかしオーケストラチェアでは、布地とフレーム部分がこすれあって発生する擦過音を防ぐため、この空間を設けています。これにより、繊細な聴覚を持つ演奏者も、雑音に惑わされることなく、自分の演奏に集中できるのです。
また、この空間には演奏者の燕尾服の裾を綺麗に垂らすこともできるため、演奏中の美観を保ちます。機能面はもちろん見た目にも配慮が行き届いた、こだわりのイスです。



音楽ホールのみならず、音楽大学や発表・式典の場にも選ばれてきたコトブキシーティングのオーケストラチェア。これからも、音が生まれるさまざまなシーンや空間に寄り添い続けます。
*楽屋話*
現在さまざまなホールで愛用されているコトブキシーティングのオーケストラチェアですが、以前は、交響楽団がオーケストラチェアを所有しており、演奏時に現場に持っていくことが多かったそうです。
しかし、重厚なイスのためしっかりとした重みがあり、演奏の度に持ち運ぶのはなかなか大変です。そこで、貸館側にオーケストラチェアがあった方が便利なのでは?と、今では全国のホールがオーケストラチェアを所有し、交響楽団がホールと共にオーケストラチェアも借りて演奏するようになったといわれています。

製品ラインナップ

演奏者用イス(FC-701N)
演奏中の使用はもちろんのこと、スタジオや練習室で開かれるミニコンサートなどでは、客席のイスとしても利用できる、落ち着きのある高品位なデザイン。専用収納台車 FE-702Nで収納できます。(積載数15脚)

チェロ演奏者用イス(FC-703)
座面を上下させるための手動の回転ノブがあり、簡単な操作で、座面高の調節が可能です。膝裏に当たる座の先端は丸みを帯びており、自然な前傾姿勢をサポートします。

コントラバス演奏者用イス(FC-704、FC-704B)
座面が回転するため身体の向きを楽に変えることができ、座面の高さもレバーで簡単に調節可能です。背もたれがあるタイプ・ないタイプを好みに応じてお選びいただけます。

納入事例

サントリーホール 大ホール(2017年リニューアル)

撮影協力:サントリーホール、NHK交響楽団

フェニーチェ堺 大ホール

洗足学園音楽大学 シルバーマウンテン リハーサル室

東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス TCMホール

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