ホールの空間を大きく印象付ける張地に注目
内装と調和しコンセプトを体現する客席づくり【緑の劇場・ホール編】

2026.05.20
事例特集
劇場・ホールで観客を迎え入れる客席は、施設のイメージを創る大事な要素のひとつです。
近年では、イスの大半を占める張地にその地域のシンボルである花や祭りといった魅力を織り込み表現するなど、趣向を凝らしたホールが増えてきました。
今回は、爽やかさやみずみずしさ、そして力強い生命力を感じさせる「緑色」が印象的な劇場・ホールをご紹介します。

01「新緑の森」をイメージした講堂

ドルトン東京学園 中等部・高等部 講堂

2019年4月に開校したドルトン東京学園 中等部・高等部。教育メソッド「ドルトンプラン」を柱としており、新設の学校でありながら大きな注目を集めています。校内には多様な学びに対応できる空間が多くあり、各教室には明るく楽しく学びに臨める工夫が施されています。
校舎2階の講堂には、芸術イベントを充実した環境で行えるよう本格的な舞台装置を完備。発表を穏やかに、集中して鑑賞ができるよう、内装は「新緑の森」をイメージしています。ステージ奥の窓から見える木々の緑と一体となって、森の中にいるような感覚を味わうことができます。
客席には、グリーンを基調とした張地をランダムに配置しました。内装に溶け込むよう、背もたれと座裏に木を使用しています。森の中に立ち並ぶ木々のように、すっきりとしたシンプルなデザインです。

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【インタビュー】ドルトン東京学園が実践する「自分らしさ」を開放する学びの場づくり

02リニューアルを印象づける、2色のグリーン

倉敷市民会館 ホール(2010年リニューアル)

クラシックの音楽ホールとして世界的にも優れた特性を誇る、倉敷市民会館 大ホール。2010年、建築の老朽化とイスの経年劣化により、ホール自慢の音響特性に大きな影響が及ぶ前に、全体的な大規模改修を実施しました。
イスは、全数をチェックし、破損・劣化・機能低下などの不具合と部材の状況を把握。幸い、イスの状態は比較的良好だったため、補修やクリーニングを施すことで多くの部材をリユースすることができました。
改修によって、薄く潰れた背座クッションにはボリューム感が戻り、色褪せて古めかしくなっていた茶系の張地は、2色のグリーンの張地に張替えられ、快適性や美観が大きく向上。座り心地が格段に良くなり、ホール全体が明るくなりました。

2014年にオープンした上田市交流文化芸術センター。併設する上田市立美術館と合わせて「サントミューゼ」と命名されました。愛称の由来は、「蚕都上田」の「サント」と、芸術の女神「ミューズ」。上田市の歴史と、音楽・美術といった文化を想起させる軽やかな語感です。
プロセニアム形式の大ホールは、本格的な舞台芸術公演から、地元の小中高による合同音楽会など、幅広い市民のニーズに応えます。内装にはふんだんに木が使われ、壁にたくさんの線が引かれたようなデザインが印象的です。
イスのストライプ柄の張地も、このホールの内装に合わせて決められました。背座の明るい木色は、空間を華やかで落ち着いた雰囲気に仕上げています。イスの側肘部分が空いている斬新なスタイルも、目を惹きます。

04ひまわりをモチーフとして色鮮やかに

港南公会堂 ホール

横浜市港南区の新しい公会堂は、駅から徒歩1分と利便性も抜群で、区民の芸術活動の拠点施設として幅広く利用されています。
一際目を引く特徴的なデザインのイスは、港南区の花「ひまわり」をモチーフとしてつくられた特注品です。区民、特に子どもたちに喜んでもらえるような、明るく楽しい公会堂を目指して設計されました。
座席の張地はオリジナルデザイン。背と座の張地を、黄色と緑色に張り分けることで、輝く太陽のもと、明るくのびのび栄えるひまわりを表現しています。背の黄色の張地は、時間と共に色が変化していくひまわりの雄蕊をイメージし、座の緑色の張地は、瑞々しい葉を表しています。華やかな張地が客席を明るく彩り、まるでひまわり畑にいるかのような気分を味わうことができます。

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