2010年、倉敷市民会館 大ホールがリニューアルされました。薄く潰れた背座クッションにはボリューム感が戻り、色褪せて古めかしくなっていた茶系の張地は、2色のグリーンの張地に張替えられ、快適性や美観が大きく向上。座り心地が格段に良くなり、ホール全体が明るくなりました。
クラシックの音楽ホールとして世界的にも優れた特性を誇る、倉敷市民会館 大ホール。しかしながら、昭和47年に開館したホールは、老朽化が進み、耐震補強工事が必要な時期でした。同様にホールのイスも、経年変化で快適性や美観が低下し、 少しずつ座面の張替えをしていたものの、イスの状況は座面張替え程度では追いつかない状態でした。建築の老朽化とイスの経年劣化により、ホール自慢の音響特性に大きな影響が及ぶ前に、全体的な大規模改修を決定。音響特性とイスのイメージはそのままで、コストを抑えて快適性と安全性を改善することが求められました。
約2,000席全てのイスをチェックし、破損・劣化・機能低下などのイスの不具合と、部材の状況を全て把握。幸い、クッションや張地以外の部分(鉄鋳物の脚、木製の肘当て、FRP製の背・座裏化粧板)の状態が比較的良好で、大きな損傷が少なかったため、補修やクリーニングを施すことで再利用できる部材が多くあり、リユースすることができました。また、現代人の体格に合わせた座面高さを設定し、座り・立ちやすさの改善を図ったり、座の回転機構部の修繕や異音発生源を取り除くなど、機構面での改修も行われました。開館当時のイスが再現され、音響特性を変えずにリニューアルが実現しました。そして、車椅子利用者もホール利用ができるように、新たに車椅子席を設置しました。
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