京都市立芸術大学における理論教育を担う講義室
2023年に創立143年を迎えた京都市立芸術大学は、日本初の公立の絵画専門学校「京都府画学校」を起源とする大学です。1980年にオープンした沓掛キャンパスでは、それまで別々の位置にあった美術学部と音楽学部を一つにまとめることで学びを深めて来ましたが、40年以上が経過し施設の老朽化や耐震性、バリアフリーなどの課題が顕在化していました。これらを解決し、新たな大学像「TERRACE」を追求するために行ったのが、JR京都駅の東部へキャンパスの全面移転です。2023年秋からスタートした新キャンパスの講義室には、作品制作や演奏のためのテクニックや感性を磨く「実技教育」と同時に重視されてきた「理論教育」にいっそう集中できる環境づくりを目指し、独立脚式の講義用机イスを納入しました。
独立脚式の講義机イスが並ぶ階段教室
コトブキシーティングが講義用机イスを納入した1階と2階の講義室は、「TERRACE」を体現するような解放感のあるガラス張りの壁が目を惹きます。天井や壁の一部には無機質な打放しコンクリートが使われていますが、机イスに木を多く用いることによって、温かみが感じられる爽やかな講義室に仕上がりました。
納入した製品は、机とイスの脚部が独立した
SD-777シリーズです。イスが後ろの机の脚部と一体したタイプと異なり、後列席の筆記や隣席の立ち座りなどの振動がイスに伝わることがないため、集中して授業に臨むことができます。また、着席したまま前傾姿勢を取ると、イスの後ろに通路スペースを生み出すことができ、座席数の多い講義室内でスムーズな動線確保に役立ちます。イスの背もたれには思わず背筋を伸ばしたくなる天然木を、座には肌当たりが柔らかく臀部にフィットする合成樹脂を用いました。
これらの机イスを、2フロア分を使って階段状に並べることによって、教壇に立つ講師の姿やモニターが座席から見やすいレイアウトを創り上げました。講師からも学生一人ひとりの表情が見えるため、理解度を推し量りながら講義を進めることができます。
講義室は、授業で利用されるほか、シンポジウムなどの開催も行われています。
施設概要
明治13年創設の日本初の公立の絵画専門学校「京都府画学校」を起源とする京都市立芸術大学は、創立143年目を迎える2023年、JR京都駅の東部エリアに全面移転しました。新キャンパスのコンセプトは「TERRACE(テラス)」。心も身体も開放感があり、日常とは少し違った視点から物事を見渡すことのできるテラスのような空間です。京都市の中心部でありながら自然の息吹も感じられる新キャンパスには、三つの地区に10棟の校舎が建ち、教育研究に必要な各種設備や機能に加え、音楽ホールやギャラリー、芸術資料館など芸術大学に相応しい設備が整えられました。