開学40周年を記念した新校舎に誕生した大講義室
志學館大学 40周年記念館は、開学から40年の節目を記念し、2022年3月に竣工した新たな校舎です。近年は学生数の増加により講義室が不足していたことから、約540人収容可能な大講義室を中心として建設されました。大人数が参加する講義のほか、学園祭におけるサークル発表会や就職説明会等のイベントなど、幅広い目的で活用されています。
大規模な講義室の開設にあたって大切なことは、教壇が見やすく講義に参加しやすい席づくり。そして、その席にスムーズに着くための動線です。また今回は、通常の講義以外の利用方法も当初から想定されていたため、レイアウト変更ができる柔軟性も求められました。
机イスは可動式と固定式を組み合わせて
壁面に使われた木と窓から入る日差しが、雰囲気を明るく印象付ける大講義室。席数は、全27列544席です。前方の8列はキャスター移動ができるフォールディングテーブル
SD-613FF2とスタッキングチェア
FC-5040で、9列目以降は固定式の講義机イス
SD-777-01で構成されています。製品の選定にあたっては、1席あたりのスペースの過不足や出入りのしやすさなどを、大学の関係者が座り比べて検討しました。
SD-613FF2は、机を動かしたい時に天板下のレバーを握ると、脚先からキャスターが出現する「リフトアップ機構」を備えた可動式机です。荷物を卓上に置いたままのスムーズな移動を可能にするほか、キャスターが常に露出するタイプの机に比べ、学生が足を引っかけて躓くなどのトラブルを防ぎます。天板を立てれば、水平スタッキングしてのコンパクトな収納も可能です。樹脂含侵の成形合板で上台を創り上げたスタッキングチェアFC-5040を組み合わせて、装いを固定席に揃えました。レイアウトを変更した後も短時間で元のスクール配置に戻せるよう、床のカーペットには印をつけています。
SD-777-01は、イスと机の脚部が分かれた独立脚タイプの固定式机イスです。一般的な固定式机イスは、自席の机が前の席のイスと繋がっているため振動が直接伝わりますが、独立脚タイプはそれを最大限に抑えているため、集中して授業に臨むことができます。着席しながら前傾姿勢を取れば、他の学生がイスの後ろを通れるスペースを確保できるため、動線もスムーズ。背もたれと座面が分かれたツーピース構造は、ワンピースタイプよりも細やかな座り心地を提供します。背もたれには講義室の品格を高める天然木を、座にはフィット感の高い合成樹脂を使用しました。
見やすく、動線が良く、フレキシブルに活用できる
座席は、後ろに行くにつれて高くなるよう階段状に設計された、勾配のある形状です。後方からでも教壇が見やすい秘密は、18列目と19列目の間にある横通路を境に変わる、段の高さにあります。19列目以降の段床は、18列目までと比べて高さが倍に設定されており、この結果生まれる急勾配が、前方の着席者の頭に遮られることの少ない快適な聴講環境を生み出しているのです。
可動席・固定席ともに、席数は3人掛けに設定。掛人数を少なく抑えることによって、出入りのしやすい座席を目指しました。また、試験時には中央1席を開けて両端の席を使用するなど、効率良く席数を確保できます。
教壇は、移動式ステージFS-055を10台並べて構成しました。前方8列を占める可動席と組み合わせてレイアウトを変更したり、全てを畳んで広いスペースをつくったりすることで、一般的な講義のスタイルに留まらない幅広い居室活用を可能にします。
施設概要
開学40周年を記念して建てられた志學館大学 40周年記念館は、約500人を収容可能な大講義室や錦江湾を一望できる二つのラウンジ、開学から40年間の歴史をたどった記念ギャラリー等を備え、2022年3月に竣工しました。外観デザインは、これから迎える未来に向けて様々に活躍する学生たちをイメージした、複数の面の組合せによる多面体の形状が特徴的です。