ついに始まる真夏の祭典
スポーツの魅力をあじわい尽くす、最先端の会場づくり

2021.07.16
コラム

7月23日、日本のスポーツ界の新たな歴史となる祭典が、いよいよ幕を開けます。
時を同じくして、海の向こうではエンゼルスの大谷選手が前人未到の快挙を驀進し、球界を大いに盛り上げています。
新型コロナの感染拡大から2年近くが経過し、東京に再び緊急事態宣言が発令された今、スポーツは時に希望の光となり、我々の胸を熱くさせてくれます。

新型コロナがスポーツに及ぼした影響は、プロの競技に限ったことではありません。
スポーツ庁が2021年に行った調査によれば、人々のスポーツへの関心は上昇傾向にあります。
コロナのパンデミック発生以前と発生後を比較すると、スポーツを実施する意欲について「以前より高くなった・やや高くなった」と回答した人が22.9%であるのに対し、「以前より低くなった・やや低くなった」と答えた人は13.6%。「意欲が増加した」との回答が、「低下した」を9.3ポイント上回っています。
同様に、スポーツ観戦に対しては、「意欲が増加」したとする回答が1.2ポイント上回りました。
スポーツへの関心が高まった要因として、「ストレス解消のための運動欲求の増加」が31.9%と、最も多く挙げられました(※スポーツ庁HPより引用)。
外出自粛が続くなか、健康な身体と心を維持するために、スポーツの需要がより拡大していることが分かります。

人々の意識の変化に伴い、スポーツの会場も進化を続けています。
大勢の人が集うスタジアムやアリーナには、観戦をより特別な体験にするための工夫が随所になされています。まもなく開催される平和の祭典に向けて、知ればスポーツがもっと楽しくなる、会場づくりのポイントをご紹介します。

迫力のプレーを間近で観る

こちらの会場では、選手のプレーをより間近で観られるよう、席とコートとの距離を狭くしています。シートの最前列がピッチと同じ高さになっているため、選手とほぼ同じ目線で試合の迫力を感じることができます。選手とより近い距離で応援することで、試合の感動も一緒に分かち合うことができると好評です。


ピッチと同じ高さの最前列シート。選手の表情や息遣いが伝わるほど距離が近い。

前の人の頭に邪魔されず、視界がスッキリ

前列の観客の頭に視界が遮られ、競技に集中できなかった経験はありますか?
観客席を急勾配に配置することで、そのようなストレスから解放されます。前の席との段差が生まれるため、視界は良好。大切なシーンを見逃すことなく、試合を心ゆくまで楽しめます。


どの席からでも競技場が見やすいように設計されている

快適な座り心地のシートでゆったりと

観戦を楽しむために重要なのが、シートの座り心地です。背と座が大きいタイプのシートは安定感があり、長時間の着座でも快適に過ごせます。背と座が分かれた2ピースタイプであれば、体圧を分散させるため、より身体への負担が軽くなります。空席時は座が跳ね上がり、コンパクトな奥行に。通路スペースにゆとりが出るため、立ち上がって応援するのにも適しています。


背と座が分かれた2ピースタイプ。
体圧を分散させるため、着座による疲労が軽減される
 

ゆったりした広めの背と座が、身体をやさしくホールド

家族や仲間と一緒に盛り上がる

大好きなチームの試合だからこそ、大切な人と一緒に応援したいと思いませんか?
スポーツ観戦を最高の思い出にするための特別なシートがあります。並んで座って観戦ができるカップルシート、家族や友人とワイワイ過ごせるボックスシート、ラグジュアリーな空間でくつろぎながら応援するVIPルーム。普段とひとあじ違った雰囲気で、観戦をゆったりと楽しむことができます。



誰でも楽しめる場所に。進化するバリアフリー

誰もが自由に競技を観戦し、自ら身体を動かす時代。スポーツを楽しむ人々の多様性が、施設にも求められています。
現在、スタジアム・アリーナなどの各施設がホームページ等でバリアフリーマップを公開し、車イス等でも利用しやすい施設であることを積極的に打ち出しています。
夏の国際大会に向け、組織委員会は「アクセシビリティ・ガイドライン」を策定し、施設におけるバリアフリーの整備を推進してきました。このガイドラインに準じた会場づくりの一例をご紹介します。

車イススペース

エリアを数多く設けることで、車イスでの観戦場所の選択肢が増加しました。同伴者用のスタッキングチェアは仮固定式のため、動かして車イス同士が横に並ぶことも可能。手すりはガラスで見通しも良好です。

ボックス席

ガラスと壁で四方を囲んだ客席は、乳幼児連れや知的・発達障がい者などが周囲に気兼ねしがちなシチュエーションを軽減するためにつくられました。

付加アメニティ席

隣の席と距離を空けることで、補助犬を連れた観客や体格の大きい観客も、隣席に遠慮せずに使用できるよう配慮がなされています。未使用時は席を設置できるため、フレキシブルに利用ができます。

手がかり

客席内の縦通路には、階段の昇降時に助けとなる手がかりを各段に設置。大きな段差でも歩きやすくなりました。

扉の手すり

アリーナの扉は利き手の違いに配慮し、ハンドルの向きを左右で対象に設置しています。

スポーツに限らず、すべての人々が充実した時間を過ごすには、まず環境を整えることが大切です。
誰もが楽しくスポーツを「する」「観る」ことができるよう、施設もさまざまな取り組みを行っています。
スポーツ文化の盛り上がりが、明るい未来の発展に繋がることを願って。
平和の祭典まで、もうすぐです。

[掲載施設]
市立吹田サッカースタジアム
東大阪市花園ラグビー場(リニューアル)
・埼玉スタジアム2002
ぴあアリーナMM
武蔵野の森総合スポーツプラザ

一覧へ戻る