東京都内だけで約1,300件――。これは、演劇・歌舞伎・舞踊・オペラ・ミュージカル・バレエ・コンサートなどの舞台芸術作品を製作・上演する、劇場・ホールの数を指しています。100席未満の小劇場から、2,000人以上を収容できる大ホールまで、規模はさまざま。各劇場の特色も多種多様ですが、利用者はどのような点に重きを置いているのでしょうか? 今回は、選択肢を「舞台の見やすさ」「イスの座り心地」「立地などの利便性」「ホスピタリティ」の4点に絞って、アンケートを行いました。
あなたの「お気に入りの劇場」のお気に入り認定ポイントを教えてください
「舞台の見やすさ」が最重要!
私のお気に入りの劇場はここ! 観劇ファンが選ぶオススメの劇場・ホール
ひとつの施設が「お気に入りの劇場」になるまでの道のり
劇場に足を運ぶ目的は、もちろん、作品を鑑賞するため。「せっかく購入したチケットなのに、大事な場面がよく見えなかった……」と足取り重く帰路につくことは、誰もが避けたい展開です。 アンケートの結果、最も投票数の高かった「舞台の見やすさ」のために、劇場オーナーと設計者の間では、設計時から検討に検討が重ねられています。模型や3Dデータを駆使し、舞台が見え辛い席を建築的に無くすため、数値データを用いながら試行錯誤。その結果、座席の配置位置が決まるのです。
コトブキシーティングの仕事は、「部分的に見え辛くなる箇所を、どのようにしてイスで補うのか」が肝となります。代表的な策のひとつが、前後で少しずつイスの位置をずらして並べる千鳥配列。
ほかにも、座席位置に応じてイスの背もたれの角度を変えたり、座高の高さを変えたりするなど、一見同じように見える劇場イスにも様々な工夫を施しています。劇場へ足を運んだ際には、自分の席と他の席との間違い探しをしてみるのはいかがでしょう?
アンケートと併せて募集した「お気に入りの劇場」のご意見には、面白い共通点がありました。選択式のアンケートでは「舞台の見やすさ」に圧倒的な投票数が集中していましたが、「お気に入りの劇場」の理由としては「非日常を感じる劇場の雰囲気」「ホスピタリティ」などが大多数を占めていたのです。「見やすさ」は誰もが重要視するポイントですが、「この場所が好き」という思いの背景には、鑑賞するための機能ではない面にも密接な関わりがあるようです。名前の挙がった劇場を、いくつかピックアップしてご紹介します。
日生劇場は、1963年完成。劇場内はうねるような曲面で構成され、天井に2万枚ものアコヤ貝殻が散りばめられています。ロビーや階段のステップひとつひとつまで、建築家・村野藤吾氏の息吹を感じるかのような美しいデザインです。イスもその建築の一部としてデザインされ、優雅な曲線を持つ独立脚タイプのイスとして誕生しました。最近では、2015年12月から2016年5月にかけて、舞台機構などを含めた劇場全体の大規模なリニューアルが実施。 「お気に入りの劇場」として日生劇場を挙げた方からは、「劇場に一歩足を踏み入れた途端、目の前に広がる非日常の世界に開演前から幸せな気持ちになる」など、日生劇場の空間全体を想うコメントが多く集まりました。
2007年オープンのシアタークリエ。座席数は609席で、舞台に向かって左手の下手(しもて)側には、ボックス席が6席。劇場イスの赤い張地と落ち着いた木の色味が、コンパクトな客席内を華やかに彩っています。 ステージの見やすさを評価する声も多かったのですが、異口同音に絶賛された点は、スタッフのきめ細かやかな心遣い! 誰もが口を揃えるホスピタリティ溢れた背景には、初代支配人が女性だったことが関係していそうですね。ミュージカルからストレートプレイまで、さまざまな作品が上演されています。
感嘆のため息が聞こえてきそうな程、音響の素晴らしさが讃えられるまつもと市民芸術館。主ホールの最大客席数は1,800。本格的なオペラも上演できるつくりである他、オーケストラとオペラを2本の柱とした日本最大級の音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」の主要会場にも選ばれています。 天井は昇降式で、客席数を最小700席に可変する他、反射音を調節することが可能。容積を変化させることによって、演劇やバレエ、クラシック音楽、コンベンションなど、様々な舞台芸術に適した音響空間をつくりあげます。 その音響への評価はもちろん、「街の誇り!」との声も上がり、地域に密着した芸術拠点として市民に愛されている様子が伝わって来ます。
アンケートの結果、100を超える劇場・ホールの名前が挙がりました。その一部をご紹介します。
その他…
グランシップ(静岡芸術劇場)、梅田劇場、PARCO劇場、ザ・スズナリ、アステールプラザ、穂の国とよはし芸術劇場、 吉祥寺シアター、船場サザンシアター、TORII HALL、オーチャードホール、シアタートラム、ACTシアター、CBGKシブゲキ!!、盛岡劇場、花まる学習会王子小劇場、南陽市文化会館、新橋演舞場、大阪松竹座、宝塚大劇場、本多劇場、せんがわ劇場、ピッコロシアター、大阪市立芸術創造館、全労済スペース・ゼロ、シアターコクーン、三越劇場、岩手県民会館、はつかいち文化ホール さくらぴあ、国立劇場、 サンシャイン劇場…など
僅か2~3時間の鑑賞時間が如何に充実した時間に変わるのかは、上演作品はもちろん、設備面が大きく関わります。作品を楽しみたい、そしてその場所にいることを楽しみたい――。劇場・ホールは、施設の運営者、設計者、舞台に立つ俳優、それを支えるスタッフ、そして足を運ぶ観客ひとりひとり、数え切れないほど多くの人の強い思いが集まった場所なのです。
演劇やミュージカル、歌舞伎やバレエなど舞台芸術を愛するみなさま… あなたの「お気に入りの劇場」のお気に入り認定ポイントを教えて貰えませんか? 思いの丈も #私の好きな劇場 のタグで聞かせていただけたら嬉しいです! † コトブキシーティング【公式】 (@kotobukiseating) 2016年6月9日
演劇やミュージカル、歌舞伎やバレエなど舞台芸術を愛するみなさま… あなたの「お気に入りの劇場」のお気に入り認定ポイントを教えて貰えませんか? 思いの丈も #私の好きな劇場 のタグで聞かせていただけたら嬉しいです!
本記事は、2016年6月に実施したTwitter上のアンケート結果を元に作成しました。
この記事内で挙げた劇場・ホールには、コトブキシーティングの製造・販売ではない劇場イスも含まれます。
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