現在全国の自治体では、市民スポーツの活発化に対する社会体育施設の整備、施設や設備の老朽化への対応などが喫緊の課題となっています。「北ガスアリーナ札幌46」は、札幌市内初の総合体育館として50年以上親しまれてきた札幌市中央体育館が、老朽化に伴い北海道ガスの工場跡地へ移転し、2019年4月にリニューアルオープンしたものです。新築移転によって規模も内容も大幅に拡充し、プロスポーツや大規模な競技大会、各種スポーツなどのイベントも開催できる施設として生まれ変わりました。札幌市の体育館で最大規模のアリーナには、移動観覧席と固定観覧席を合わせて2,460席の観客席を備え、多様なレイアウトに対応。またバスケットボールコート3面分の面積を持つアリーナは、大型電動間仕切「SIKIRUTO(シキルト)」によって3分割が可能で、目的に合わせて一体・分割利用が行われています。今回は、すっかり市民にも定着した北ガスアリーナ札幌46の利用状況について、管理運営を行う札幌市スポーツ協会の佐々木悠亮氏からお話を伺いました。

一般財団法人 札幌市スポーツ協会
北ガスアリーナ札幌46
事務職員
佐々木 悠亮 氏
札幌市が所有する最大規模のアリーナ
――札幌市スポーツ協会さんの事業内容について教えてください。
札幌市スポーツ協会は、札幌市におけるスポーツ競技団体を総括しており、競技力の向上・普及促進、国際的なスポーツイベントの誘致・開催支援などの事業に取り組んでいます。その一つとして、スポーツ施設、健康づくり施設の管理運営と、スポーツ教室や札幌マラソンをはじめとする各種スポーツイベントの開催も行っています。現在は指定管理者として、札幌市内の体育館、温水プール、スケート施設、競技場など、約30施設を運営しています。体育館については、札幌市10区の各区にあり、中央区のように二つある場所もありますので、現在12施設を運営しています。
――札幌市内では、北ガスアリーナ札幌46が一番大きな体育館になりますよね。

当協会で管理する札幌市保有の体育館では、ここが一番大きな施設になります。リニューアルの際に規模も格段に大きくなりました。
建物は3階建てで、1階には相撲、ボクシング、剣道、武道、柔道、弓道、アーチェリー、ウエイトリフティングなどの特殊種目の専用施設とトレーニング室。2階・3階が吹き抜けのアリーナで、2階には普段は壁に収納している移動観客席が1,104席、3階には固定観客席が1,356席、車イス用観客席22席があり、約2,500席の観客席を備えています。
他の区の体育館は、バスケットボールコートで言うと2面分の広さになりますが、当館のメインアリーナはバスケットボールコート3面分の広さがあります。かつ観客席があり、3階の観客席の周りには1周250mのランニングコースも設置されているので、他の体育館と比べるとかなり広く感じるかもしれませんね
――普段の利用は、どのような方が中心なのでしょうか。
市民が個人で日常的に自由に利用する内容としては、トレーニング室やランニングコース、アリーナでいえばバドミントンや卓球などの一般開放日がありますが、そうした一般的な体育館でもできる内容については、ご自宅や職場が近い方の利用が中心だと思います。当館で主催している教室についても、球技やフィットネス系の内容は他の区の体育館とそれほど変わらないので、同様ですね。
ただ当館には、相撲、ボクシングなどの他にはあまりない特殊種目の専用施設がありますので、そうした種目についてはわざわざ来ていただいている方も多いようです。
――アリーナの利用についてはいかがですか。
アリーナ全面を使用するのは、全国・全道規模のスポーツ大会、プロのスポーツリーグの試合などです。スポーツリーグでは、これまでにフットサル、バレーボール、バスケット、卓球の試合を開催しました。
フットサルでいえば、エスポラーダ北海道さんはホームゲームという扱いで開催しています。今年度は4回ほど予定が入っています。バレーボールはもう少し多く、北海道イエロースターズさん、デンソーエアリービーズさん、アルテミス北海道さんが利用してくれています。デンソーエアリービーズさんはメインのホームは愛知県西尾市なのですが、パートナー協定で札幌市もホームタウンになっていて、年に2回ほど当館で試合をしています。
3分割することで多目的な利用が可能に
――大型電動間仕切「SIKIRUTO(シキルト)」を導入していただいていますが、どのような時に使っていますか。
スポーツリーグの試合の時はセンターコート形式で使用していますし、大きなスポーツ大会の時も仕切ることはほとんどありません。SIKIRUTO(シキルト)を使うのは、普段、市民が利用する時ですね。
メインアリーナの場合、大会等で全面使用するとき以外は、バドミントン・卓球などの決められた開放種目を誰でも利用できる一般開放、当館主催の球技教室、サークルや団体の活動で貸し切りできる専用利用の三つの利用方法があり、A・B・Cで仕切って利用してもらっています。
――普段は基本的に仕切っているということですが、一日の中で何度か昇降することはないということでしょうか。

日によっては昇降を繰り返す日があります。利用できる時間帯が三つに分かれており、その時間ごとで3分割のときもあれば2分割のときもありますので、午前・午後・夜間の切り替わりのタイミングで昇降することになります。
――分割されたそれぞれの場所で全く違うことをやっている場合、利用者から何か声が上がることはありますか。
SIKIRUTO(シキルト)で分けた三つのエリアが、違う内容で利用していることは多いですが、隣の声が気になるとか、そうした話は聞いたことがないですね。幕で仕切っているだけなので、全く声が入ってこないというわけではないですが、気になるレベルではないのだと思います。
――仕切ることで、大きな大会から一般の市民利用まで幅広く対応できるということですね。
今後は自治体の体育館も規模が大きくなる可能性が考えられるので、分割での利用が珍しくなくなるかもしれません。
ちなみに最近の体育館は様々なイベント誘致するなど、街のにぎわいを生む施設としての役割もありますよね。
札幌市も北海道立総合体育センター(愛称:北海きたえーる)に次ぐ規模の施設を作ることで、大きなイベントや大会を受け入れたいという意向があったと聞いています。その意味で個人的には、様々なイベントを誘致するために積極的にPRしていくことも必要なのではと感じています。
――札幌市の中心的なアリーナとして、様々な利用を期待しています。本日はありがとうございました。
取材日:2024年5月
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