社長 深澤啓子インタビュー 「世界でも希少な百年企業として。」
劇場・シアター・スポーツ観戦での日米には、座席に違いがあります。やはり国により、イスのデザインの好みが違うという印象です。それだけにコトブキのイスを見た時、座った時に興味を抱く、そう実感します。人々はコトブキのイスの“造形・仕上げ・バラエティ”に注目します。それはコトブキがディテールを大切にするからです。「木を使った部分も美しい」など、細部にmade in Japanの職人的な強さを感じるようです。 またアメリカには、伝統的に新たな価値を生み出し変化していくというイノベーションがあることから、コトブキ製品への注目度は高いです。
そのひとつの現象が「スリープカプセル」の導入です。来日の際、コトブキのスリープカプセルを体験し、アメリカでも展開したいと考える企業や事業家が増えました。「宿泊のお金をセーブでき、しかもクリーンで便利」という感想をよく聞きます。このように、コトブキへの期待も大きく、日米を「安心の快さ」でつなぎたいと思っています。
世界中から留学生が集まっており、寮生活でした。アメリカ生活が始まった一カ月ほどのある日、睡眠中の夢が全部英語になりました。スイッチが入った瞬間でした。その日から英語で物事を考えるようになりました。
大学卒業後はニューヨークで仕事に就きました。この時『分からないことは、周囲の人に質問し、よく聞いて教えてもらえればできるんだ』と実感。現在の私の信条である「まず、聞いて教えてもらう」という「Just start」に直結しています。
先ほど、アメリカでは英語で考えるようになったと話しましたが、日本にいれば日本語で考えます。その双方に利点があります。日本の仕事における思考の根幹には、プロフェッショナリズムが強くあり、多くのことを細かく考えて進める、これが、コトブキシーティングの製品にも確実に反映されています。一方のアメリカでは、まず、ロジカルを素早く固め、これを大切に突き進みます。英語の端的さと同じようにスピーディに進行されます。実はどちらも重要です。状況によって組み替えることができれば、素晴らしいビジネスが生まれるはずです。
私たちの製品は、その国のインフラのひとつであるという思いが大きな支えとなります。劇場やアリーナなどは、その国の人々の文化を表現する大切な場所であり、歴史を遡っても人は音楽やスポーツ、演劇を楽しむ共有空間を必要としてきたことから、集いの場がなくなるということは、永遠にないだろうと思います。私たち一人一人の仕事の意義を噛み締めて皆さま一緒に頑張りましょう。
●インタビュアー/高井真・道端めい(広報企画部)・猪股司(イノマタオフィス)