卸市場のせりを支えたベンチシートの改修計画
東京都中央卸売市場の一つである北足立市場は、青果部と花き部を併設しており、新鮮な野菜と花の流通拠点として日々賑わいを見せています。
卸売場に並んでいた580席のベンチシートは、35年以上前の1988年3月、せりでたくさんの人が座れるようにという市場の要望を受けて、コトブキシーティング株式会社の前身である株式会社コトブキ(2010年分社化)が設置したイスでした。長く利用されてきましたが、新型コロナウィルス感染症拡大の環境下において、一人ひとりの座席スペースが明確ではないため人と人の距離を保ちにくいという課題が発生。ソーシャルディスタンスを確保するためのリニューアル計画が始動し、2021年2月、新たなせり座席へと生まれ変わりました。
短期間のリニューアルに貢献するブロー成形のツーピースシート
採用されたイスは、背と座が分かれたツーピースタイプのブロー成形スタジアムシート
BLM-9000シリーズでした。高密度ポリエチレンをブロー成形という手法でイスに成形しており、成形時に生じるダブルシェルと呼ばれる中空構造が、耐久性と快適性を両立しています。耐熱性、耐水性、耐薬品性や耐油性も備えているため汚れに強く、人の出入りが多い卸売場でも安心です。
BLM-9000シリーズの最大の特徴は、既存のイスの脚部はそのまま、イス上台のみを設置するため、アンカー施工の必要もなく改修工事の期間を最小限に抑えられることです。市場を長期間止めずにリニューアルできることが、導入の決め手となりました。
座り心地も動線も快適に進化
個席タイプへの改修によって、1席空けて座るなどの距離を保つ着席が容易になりました。また、座面には奥行が生まれ、一人分のスペースが広く快適に進化。背もたれが新たに備わり、座面の高さは現代人の体格に合わせて約60ミリメートル高くなったため、ゆったりと身体を預けることができます。背と座にはビニールレザーを張ったクッションパッドもあり、座り心地が柔らかさです。
座席の前の通路が狭いという声も上がっていましたが、新しいイスには、空席時に座が跳ね上がる「座自動緩起立機構」が備わっており、ゆとりある大きさの座でも通路寸法を狭めることがありません。離席した後の座面がそのままになる心配もなく、いつでも通り抜けがスムーズです。通路を増やして動線を向上させたいという要望を受けて、座席数を466席に減らし、縦の通路も新たに5本設けました。
イスの色は第一花きのコーポレートカラーを模したグリーン、クッションパッドは華やかなレッド。華やかな花の取引を活性化させるべく、明るい空間を実現しました。
施設概要
北足立市場は、青果部と花き部を併設した東京都中央卸売市場の一つとして、区部北東部における青果及び花き流通を支えています。首都高速川口線「足立入谷」インターから近く、日暮里・舎人ライナー「舎人公園」駅からも徒歩10分とアクセス良好な市場です。次代を担う子どもたちに向けた食育教室や花育教室などのイベントも積極的に開催しており、毎年秋に開催される市場まつりでも多くの人が集まります。