多世代が集う地域の新たな交流拠点「宇漢米(うかめ)館」
2023年12月、岩手県軽米町に、かるまい文化交流センター「宇漢米館」がオープンしました。中央公民館と図書館の建て替えを機に、バスターミナルや子育て支援施設、トレーニングルームなどを併設して開館した、地域の新たな交流拠点です。外観を印象づけるのは、町の特産であった赤レンガ。ガラスを多用した開放的な設計により、外から施設内の賑わいも感じられます。
中央公民館の機能を引き継いだ多目的ホールには、世代を問わず幅広い用途で利用できる空間を目指して、展開収納が可能な移動観覧席が導入されました。開館以降、コンサートやオーケストラの演奏会、のど自慢大会、映画上映など、さまざまなイベントが開催されています。
素早く空間を切り替えられる、フルオート仕様の移動観覧席
多目的ホールは、300席の移動観覧席と100席のフォールディングチェアを組み合わせることで、最大400席まで対応できるフレキシブルな空間です。
移動観覧席はフルオート仕様の壁面収納式で、展開スイッチひとつで壁の中に収まっていた12段の客席があっという間に現れます。座席は階段状に配置されているため、移動観覧席の前にフォールディングチェアを並べても良好な視界を確保することが可能です。
収納時には、上段の手摺を取り外し、1段目のステップを折りたたむだけで準備が完了。あとは収納スイッチを押すだけで自動的に壁の中へと収納されるため、少人数の施設スタッフでも素早く空間を切り替えることができます。フォールディングチェアは台車ごとステージ下に収納可能で、すべてを収納すればホールを平土間として、展示会やダンスなどに活用することができます。
快適な座り心地を提供する2種類の座席
移動観覧席には、スタンダードタイプの
5Rシートを採用しました。背もたれの上部が自然に湾曲したフィットバック機能によって、着席者の背中をしっかりと支えます。背と座にはウレタンフォーム使用しており、薄型ながらも快適な座り心地を提供。さらに座がゆっくりと起き上がる座自動緩起立機構を備えた、離席時の衝突音や振動を抑える静音設計です。
フォールディングチェアは、機能性と快適性を兼ね備えた「ORUCHE(オルチェ)」FD-310です。折りたたみ式ながら、厚さ50mmのクッションと背パッドによって、ボリュームのある豊かな座り心地を実現します。クッションはウレタンフォームと樹脂繊維を組み合わせた二重構造で、通気性や体圧分散にも優れており、高齢者にも好評です。
いずれの座席もブラックの張地で統一されており、木目を生かした温かみのあるホール空間に、落ち着きと一体感をもたらしています。
施設概要
「かるまい文化交流センター 宇漢米館」は、北上山地の北端に位置する岩手県軽米町の交流拠点として、ホールや図書館、バスターミナルなどを一体化して誕生した複合施設です。屋根にはソーラーパネルを設置するなど、環境負荷の軽減に取り組むZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)対応施設でもあります。2023年12月の開館時にはオープニングセレモニーと開館記念式典が行われ、多くの町民が新たな交流拠点の完成を祝いました。翌年には館内に地元の食材を活かしたメニューを楽しめるカフェテリア「いまるカフェ」も新規オープン。訪れる人々が自然と集い交流が生まれる、軽米町の新たなシンボルとなっています。