プリニーの文化会館
プリニーの文化ホール

2025.10.08
劇場・コンサートホール
before
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施設説明

休館を機に大規模な改修を実施、新たなホールへ生まれ変わる

各務原市文化ホールは、市の文化芸術の拠点として1987年に開館しました。ワンフロア形式のコンサートに適したホールがあり、2019年7月からはネーミングライツによる愛称「プリニーの文化ホール」が冠されています。
2022年8月から、落雷による電気設備の故障のため休館を余儀なくされていましたが、復旧工事と併せて施設長寿命化のための改修工事を実施し、2025年4月にリニューアルオープンを果たしました。これからも施設を長く丁寧に使い続けていくため、客席や照明、ステージの床などが更新されています。

豊かな座り心地の新たなイスは、立ち座りも通り抜けもスムーズに

新たな座席として選ばれたのは、コトブキシーティングのラインナップの中でも多くの実績を持つ、劇場・ホールイス「Unison ユニゾン」TS-19シリーズです。着席者の身体に沿う三次元カーブの背もたれと、体圧を均等に分散する耐久性の高い波形スプリングを内蔵した座で、長時間の着席による身体の疲労を最大限に軽減します。
選定ポイントは、脚部にある欠き込みでした。一般的な劇場イスは、肘当の下から真っ直ぐに脚が伸びていますが、TS-19シリーズは肘当の下にアキがあり、着席者はここに膝を潜らせることができます。座席の前を他の観客が通る時に、座ったままスペースの譲り合いが可能になり通り抜けがしやすいため、スムーズな開演に貢献できます。
また座には、着席者の膝裏にあたる先端部を薄くした「スペーシア」を採用することによって、足も引きやすくなりました。従来の座の形状と比較して足元のスペースにゆとりが生まれるため、老若男女問わず立ち座りを楽に行えます。

リニューアル前から進化した、イスの設計や客席の配置

竣工時から愛用されてきたリニューアル前のイスは、赤みを帯びたオレンジ色のモケットの張地と、背裏や座裏、脚部に使われたスチールの組合せで、シンプルながらもホールらしい雰囲気を創り上げた連結管式でした。新しいイスは、華やかなベネチアンレッドの平織張地と、背裏や座裏、脚部にあしらわれた天然木で品格ある佇まいを演出。1席の左右に脚がある並列脚式のため、最大4席が両端の脚で繋がっていた連結管式に比べて隣席への振動を抑制でき、鑑賞への集中力も高まります。
ゆとりある客席を目指して、総席数の削減も行いました。これにより一人分間口は50ミリメートル広くなった530ミリメートルのじゅうぶんな大きさを確立でき、従来は二次元だった背もたれのカーブが三次元に進化したことと相まって、ゆったりとした座り心地に仕上がっています。
客席を横断する大きな通路より前方の席は、緩やかなスロープになっており、これまでは前の席に座る人の頭で舞台が見えづらいといった声もありました。今回の改修では、前後半席ずつずらしてイスを並べる千鳥配置を中央のブロックに採用して、見やすい客席づくりを実現したのです。
車イススペースには、移動席を設けました。ワンタッチで簡単にキャスター移動ができ、必要に応じた設営や撤収もスムーズです。車イスがスペースから落下することを防ぐL字に囲む手摺も取り外しが可能なため、車イス利用者がいない場合は一般の席として利用することもできます。

施設概要

プリニーの文化会館「プリニーの文化ホール」は、落雷による電気設備の故障からの休館を経て、2025年4月に市民待望のリニューアルオープンを果たしました。ホール空間は座席や照明、ステージ床の入れ替えによりイメージが一新。改修前は502席だった客席が、1席あたりのスペースにゆとりを持たせることで、435席に変わりました。こけら落としの「アンサンブルロッソコンサート~弦楽四重奏で紡ぐ万華鏡の世界~」には市民400人が集まり、多彩な演目と美しい音色を堪能。子どもが参画できるコンサートや、アーティストの文化公演なども予定されています。

居室データ

所在地
504-0813 岐阜県各務原市蘇原中央町2-1-8 地図
施主
各務原市
設計
大建設計株式会社
リニューアル
2025年4月
席数
438
(車イス席3席、介助者席6席含む)
関連リンク
プリニーの文化会館 WEBサイト