にししん文化会館 茶々っとホール
大ホール

2025.09.29
劇場・コンサートホール
before
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施設説明

改修を経て装いを一新した大ホールの客席

大規模改修工事を終えた西尾市文化会館が、2025年1月、「にししん文化会館 茶々っとホール」と愛称を冠してリニューアルオープンしました。
天井の耐震化のほか、音響設備や床の更新、座席の入れ替えも行った大ホールは、これまでのイメージを一新して生まれ変わっています。従来との差を大きく印象付けている一つが、客席のイスです。FRP成形品をベースに背座にクッションを配したモノトーン調のシンプルな劇場イスから、背座の天然木と脚部のアルミダイキャストを落ち着いたダークブラウンに塗装し、鮮やかな赤色の張地を配した劇場・ホールイス「Unison ユニゾン」TS-19シリーズへ。施設関係者が座り比べをして選定しました。

座り心地も動線も快適に、寸法も令和に合わせたアップデート

入れ替え前のイスは、背もたれの形状はシンプルな二次元カーブで、1980年竣工時の日本人の平均体格に合わせた寸法で設計されていたことから、老朽化以外の点でも、座り心地に課題がありました。
新たに導入されたTS-19シリーズは、人体の座り形状に合わせた三次元カーブの背もたれと、体圧を均等に分散する耐久性の高い波形スプリングの座による、長時間の鑑賞でも疲れにくい快適な座り心地が特徴です。ウレタンの詰まった背座のクッションが、着席者の身体を優しく受け止めながら、鑑賞に最適な姿勢を促します。
どこか軽快さも感じさせる意匠のキーとなるのは、肘当の下にある欠き込みです。着席者がこのアキに膝を潜らせることで座席前の通路を広く保つことができ、他の観客の通り抜けも容易にします。
着席時に足を座の下に深く引き込めるよう、座の先端部を薄くした「スペーシア」も、快適な客席づくりに貢献しています。足の可動域が広いため鑑賞時の体勢の自由度が高く、スムーズな立ち座りや、前通路の通行時のスペース確保にも役立ちます。扇状に広がる客席の後方3分の2は段床のため、昇降時の転倒を予防する安全策として、縦通路に面した席の背もたれに手がかりとなる「手掛け棒」も備えました。
寸法も進化し、背もたれ上部までの高さは810ミリメートルから900ミリメートル、一人分間口は480ミリメートルから520ミリメートルに。総席数を1,217席から1,111席に削減することで実現した、一人分のスペースが広い、落ち着きのある客席空間です。

清掃もメンテナンスも楽だから、美しい客席を長く保てる

脚部の素材は、このイスの選定ポイントの一つでした。脚部は頑丈なアルミダイキャスト製のため、通行時に靴や荷物が当たっても傷が付きにくく、座席を長く美しく保つことができます。
クッションを包む赤い張地は、愛知県内の劇場・ホールで初の導入となった、FPシリーズです。耐久性に優れたポリエステル100%で、汚れが付着した時にも水だけで簡単に汚れを落とすことができるため、容易にメンテナンスできます。

施設概要

にししん文化会館 茶々っとホールは、大小のホールを備えた市の文化交流拠点です。1980年竣工以来の大規模改修を経て、2025年1月にリニューアルオープンを果たしました。大ホールが全面リニューアルしたほか、3階の一部の会議室はダンスや音楽の練習などに利用できる創作室へと変わり、ホール前には屋外イベントの開催ができる市民広場も整備されました。新たな愛称「にししん文化会館 茶々っとホール」は、ネーミングライツパートナーである西尾信用金庫が名付けました。こけら落としには新春コンサートが行われ、生まれ変わった施設に市民の注目と期待が寄せられています。

居室データ

所在地
445-0877 愛知県西尾市山下町泡原30 地図
リニューアル
2025年1月
席数
1,111
(車イス席6席含む)
施主
西尾市
設計監理
株式会社伊藤建築設計事務所
関連リンク
にししん文化会館 茶々っとホール WEBサイト