施設の長寿命化を図るリニューアルでホールの座席を更新
戸塚公会堂は、講堂の天井耐震工事実施とともに、講堂設備等の大規模リニューアルを行いました。1978年オープンの歴史ある施設をこれからも大切に利用し続けるための、更新計画です。講堂の天井の耐震工事や、客席照明のLED化、舞台機材の入れ替え、客席イスの更新、客席床タイルの張り替えなどが行われ、リニューアルを印象付ける新たな空間に生まれ変わっています。
総席数を減らしてゆとりある座り心地にアップデート、張地の変化でイメージを一新
リニューアル前の客席には、エンジ色の張地が印象的な劇場・ホールイスが568席並んでいました。一人分間口は450ミリメートル、座面の高さは375ミリメートル。納入当時の日本人の体格にぴったりなサイズでしたが、新たなイスは現代の規格に合わせてアップデートを行い、一人分間口は500ミリメートル、座面の高さは425ミリメートルに進化しました。
改修にあたって、座席をゆとりある大きさへ更新にするため数を間引き、総席数は517席に。最前列と2列目の48席はスタッキングチェアを採用したため、イベントに応じてイスを収納することで、子どもたちの桟敷席にしたり、コーラスの練習場所として使ったり、合唱など出演者が多いときに指揮者分のスペースとしてステージエリアを拡張したりといった、柔軟な対応が可能になりました。大きな横通路に面して配置された14席の移動席も、ワンタッチでキャスター移動ができる最新型に代わり、使い勝手が向上しています。必要に応じて、車イススペースを設けることができます。
張地は客席のイメージを一新する涼やかなグレー。木部もナチュラルなカラーから、重厚感のあるダークな色に更新されています。
座り心地と機能性を両立した、2種類のイス
導入された
劇場・ホールイス「Unison ユニゾン」TS-19シリーズは、人体の座り形状に合わせた三次元カーブの背もたれと、体圧を均等に分散する耐久性の高い波形スプリングの座による、長時間の鑑賞でも身体に負担の少ない快適な座り心地が特徴です。ウレタンの詰まった背座のクッションは、身体を優しく受け止めながら、鑑賞に相応しい座り姿勢を自然に促します。
座には新たに「座自動緩起立機構」が装備され、離席時に座が自動的に上がって背もたれ側に収まるようになりました。空席時も全ての座がきちんと収納されることで、通り抜けにじゅうぶんな通路スペースを確保し、客席空間の美しさを保ちます。
脚部にはデザインのアクセントとなる欠き込みがあり、着席者がこのアキに膝を潜らせることで、座席の前の通路を広く保ち、他の観客にスムーズな通行を促すことが可能になります。床が階段状になる列には、通路側の席の背もたれに「手掛け棒」も備えました。階段昇降時の手がかりとなり、老若男女問わず安全な歩行のサポートに役立ちます。
スタッキングチェア「Axis(アクシス)」FC-310には、TS-19シリーズと同じ張地を張ることで、異なるイスでも客席空間に統一感を生み出しました。着席者の身体を抱き込むようにアールを描いた大きな背もたれと、ウレタンフォームと樹脂繊維コアで創り上げた二重構造の座のクッションが、劇場イスにも引けを取らない、ボリュームある座り心地を提供します。
施設概要
横浜市戸塚公会堂は、JR戸塚駅から徒歩5分の位置にある、区民のための文化施設です。コンサートホールとなる講堂と二つの会議室が備わっており、1978年のオープン以来、コンサート・発表会・講演会をはじめとした催しのほか、小規模の集会や地域のコミュニティ活動などに利用されてきました。講堂の天井耐震工事とともに、講堂設備等の大規模なリニューアルが行われ、2025年6月にリニューアルオープン。リニューアルを記念した「ふれあいコンサート」が開催され、ゆとりある座り心地の新たなイスが地域住民を歓迎しています。