鈴鹿市民に親しまれる文化活動の拠点の長寿命化を目指してリニューアル
ハヤシユナイテッド文化ホール鈴鹿(鈴鹿市文化会館)は、1988年の竣工から30年以上に渡り市民の文化活動を支えて来ましたが、長年の使用により、老朽化が進んでいました。市民に親しまれる施設を、これからも大切に使い続けていくことを前提に、長寿命化を目指した大規模な改修工事に着手。約2年3ヶ月の休館を経た2024年7月、リニューアルオープンを果たしました。
コンサートや演劇、講演会などの様々な催しに対応するけやきホールは、466席が扇形に並んだ、どの席からも舞台を近くに感じることができる見やすいつくりです。緩やかに弧を描くイスの配置は、曲線が多く用いられたホールの内装と調和し、ホール全体に一体感を生み出します。今回の改修では、座席の更新が新たな装いを強く印象づけています。
イスのサンケイホール鈴鹿の改修から繋がる客席のイス
改修前の客席には赤と茶の2色のファブリックで張り分けられたソファを思わせるイスが、隣席と寄り添うようにぴったりと繋がって並んでいました。座席の更新にあたって選ばれたのは、2018年に鈴鹿市民会館こと「イスのサンケイホール鈴鹿」の大規模改修で導入されたホールと同じイスです。入れ替え後に好評だったことから、けやきホールのリニューアルでも同じものが選定されました。全国の劇場・ホールでも多くの実績を持つ、
TS-71シリーズ「Cadenza カデンツァ」です。
着席者の背骨に沿って緩やかな三次元カーブを描く背もたれと、ウレタンクッションや体圧を分散する波形スプリングを内蔵した座が、長時間に及ぶ鑑賞でもしっかりと身体をサポート。現代人の体格に合わせて、リニューアル前の座席よりも座面高を高く設定し、間口は最大で50ミリメートル広くなりました。これまで以上に疲れにくい、快適な座り心地を提供します。
また、離席時に座が自動でゆっくりと跳ね上がる座自動起立緩機構が新たに備わったため、空席のイスの座はいつでも美しく垂直に収納され、客席の整然とした佇まいを保ちます。通路スペースを塞ぎ通行を妨げる心配がないため、スムーズな動線の確保はもちろん、非常時の安全な通行にも貢献します。
市のシンボル花をデザインした特別な張地を色違いで採用
イスのサンケイホール鈴鹿の客席を彩ったのは、コトブキシーティングのグループ会社である
FABRIKOがデザインを手掛けた、市の花であるサツキの柄の赤いファブリックでした。市のキャッチコピーである「さあ、きっともっと鈴鹿。海あり、山あり、匠の技あり」に感じられる山並みや海の波をイメージしたこのデザインが、市民にも大いに親しまれていたことから、けやきホールにも同じ柄の青い張地が採用されることになりました。長く美しさを保てるよう、摩耗に強い丈夫なモケット調の素材を用いています。
客席の更新に際して、同じファブリックを使用したソファもホワイエに導入。木部には地場産木材であるヒノキを使用して製作を行い、地域の温もりが感じられる空間を創り上げました。
施設概要
1988年の竣工以来、市民文化活動の中心拠点として機能してきたハヤシユナイテッド文化ホール鈴鹿(鈴鹿市文化会館)は、経年劣化や耐用年数を超過している設備が多数存在することから、原状回復と性能向上を目的に大規模な改修を実施しました。メインホールである「けやきホール」の天井落下防止工事や舞台機構や音響設備、座席などの更新が行われたほか、プラネタリウムを撤去して多目的ドームを新設するなど、市民の文化活動のさらなるサポートする施設へと生まれ変わっています。