鈴鹿市民会館
ホール(リニューアル)

2018.03.01
劇場・コンサートホール

施設説明

※2020年4月1日より「イスのサンケイホール鈴鹿」へ名称変更されています。ここでは記事公開時の呼称をそのまま使用しています。

国際的な観光都市・三重県鈴鹿

三重県鈴鹿市は、伊勢湾と鈴鹿山脈に育まれた豊かな自然のもと、経済や産業が発展を遂げてきた観光都市です。

日本有数のレーシングコースである鈴鹿サーキットでは、世界選手権など国際的な大会も数多く開催されており、毎年世界中から多くの旅行客が訪れる国際都市として知られています。

鈴鹿市の文化交流拠点として愛される鈴鹿市民会館

伊勢街道沿いの市内の中心部に佇む鈴鹿市民会館は、1968年に開館しました。以来、コンサートや演劇、映画鑑賞会、講演会のほか、各種大会や式典の会場として、そして鈴鹿市の文化を発信する施設として、多くの市民に親しまれてきました。

開館50周年を目前に控えた2017年、耐震強度が問題視されていたロビーや客席の吊り天井の一新と、館内の整備のため、約1年間の休館が決定。最も大掛かりな天井工事の足場を確保するためには、客席のイスも取り外さなければなりません。

しかし、客席のイスは、前回の改修工事時に入れ替えが行われてから約30年が経過しており、機能的な劣化や痛みが顕著でした。そこで鈴鹿市は、客席の全面的なリニューアルに踏み切ったのです。

生まれ変わった客席で鈴鹿市のシンボル花がおもてなし

従来のイスは、1席ごとに独立した脚がなく、イスが鋼管の上で横1列に繋がった「連結管方式」でした。この構造の場合、脚を3~4席ごとに設けるため、足元が開放的であり、館のスタッフもイスの下を掃除しやすい特徴があります。一方で、鋼管を通して横1列すべての席の振動が伝わりやすい側面も持っていました。

今回の改修では、連結管方式から頑丈なスチール製の独立脚方式へ変更し、隣席の振動を最小限に抑制。堅牢性は、大きくレベルアップしたポイントのひとつです。

薄く成形した背板は、人間の背骨に沿って緩やかなカーブを描いた三次元形状です。背もたれへのフィット感が増しただけでなく、後ろの席に座る人の膝回りの空間に余裕も生まれました。座には、改良を重ねた波形スプリングと、型崩れしない高密度のモールドウレタン成形品のクッション材を使用し、座り心地の向上も図っています。

イスの張地に採用されたのは、摩耗に強いモケット調の素材です。市の担当者とテキスタイルデザイナーの綿密な打ち合わせの元、デザインには市のシンボル花であるサツキを取り入れることが決まりました。

サツキの花が波打って流れていくような印象的なデザインは、市のキャッチコピーである「さぁ、きっともっと鈴鹿。海あり、山あり、匠の技あり」に感じられる山並みや海の波もイメージ。このサツキ模様は、鈴鹿市民会館を象徴するデザインとして、館内のロビーや天井にも取り入れられています。

2018年1月には、こけら落としとして鈴鹿市の成人式が執り行われました。鈴鹿市を担う若者の門出を、赤く波打つサツキの花が祝福しました。

インタビュー


市の「誇り」を一体化して誕生した、
ファブリック鈴鹿市民会館の「市民のためのイス」

居室データ

所在地
513-0801 三重県鈴鹿市神戸1-18-18 地図
施主
鈴鹿市
オープン
2018年1月
席数
1,275
関連リンク
鈴鹿市民会館 WEBサイト
テキスタイルデザイン:鈴鹿市民会館 | 株式会社FABRIKO WEBサイト