矢板市文化スポーツ複合施設
多機能ホール

2024.09.20
多目的ホール(可動席)

施設説明

スポーツツーリズムの拠点として誕生した新施設

栃木県の北東部に位置する矢板市は、美しい里山に囲まれた街です。四季折々の自然が楽しめる公園やキャンプ場といったレジャースポットが充実しており、市内からは街のシンボルである雄大な高原山を望むことができます。
2016年から、矢板市はスポーツと観光を結び付けた「スポーツツーリズム」事業を推進しており、市の新たな観光資源となっています。スポーツツーリズムを進めるにあたっては、市内に拠点となる施設が必要でした。
それまで市民に利用されていた文化会館と体育館は、施設の老朽化に加え、2019年の台風19号により浸水などの被害を受けていました。2024年4月、そのふたつの施設を統合するかたちで誕生したのが新しい複合施設です。
西側正面エントランスに入ると、左側に多機能ホールが、ホワイエを挟んだ右側に多機能ホールと同じ広さのアリーナがあります。
アリーナはバスケットボールやバレーボール、卓球といったスポーツの利用が中心ですが、講演会やダンス教室、演奏会など、より多様な活動が行えるよう設置されたのが多機能ホールです。同時に、スポーツの利用もできるよう、ホールには収納式の観覧席とステージが導入されました。

移動式の観覧席と収納式ステージを導入したフレキシブルなホール

さまざまな目的で利用される多機能ホールには、空間をフレキシブルに使うための工夫が必要でした。そこで採用されたのが、必要な時のみ展開できる移動観覧席と収納式のステージです。
ホールで講演会やコンサートなどを行う際は、移動観覧席を展開します。すべての動作を手動で行うマニュアルタイプで、複数人で設営をします。
計3台ある観覧席は移動式のため、設置する場所を自由に設定できるのが特徴です。催しの規模や収容人数に合わせ、ハンドパレッターを使用してホール後方に設置したりステージ近くにしたり、客席を自在にレイアウトできます。
観覧席は本体を動かして設営するため、搭載するイスには軽量で扱いやすい機能性と安定した座り心地が求められました。そこで選ばれたのが、薄くしなやかなデザインの「LIMS(リムズ)」です。人間工学に基づいて設計した座席の背座が着席する身体を優しく支え、快適な座り心地をサポートします。
LIMSを搭載した移動観覧席の総席数は216席。より規模の大きい催しの場合は、前方にスタッキングチェアを並べて席数の調整をします。スタッキングチェアは、軽量で持ち運びがしやすいFC-303が選ばれました。ギャンギング機能付きでイス同士をすばやく綺麗に並べることができます。移動観覧席と合わせ、最大で786席分の座席が設営できます。
一方、スポーツをする際には、移動観覧席とステージを収納し広い空間として利用します。
壁面収納式のステージ「DS-100」は、展開と収納を電動で行うタイプです。リモコンひとつで操作するため、1人でも手軽に短時間で設営ができます。
ステージは未使用時、壁面に折り畳んだ状態で格納されています。ステージを畳んだスペースに3台分の移動観覧席を置けばすっきりと納まる設計のため、すべてを収納するとアリーナと同じ広い平土間空間を作り出すことができるのです。
 
スポーツの利用はもちろん、さまざまな文化活動も行うことができる矢板市文化スポーツ複合施設。スポーツツーリズムの新たな拠点として、日々賑わいを見せています。

施設概要

スポーツと観光を結び付けたスポーツツーリズム、新技術を取り入れたデジタルトランスフォーメーション(DX)の拠点施設として、2024年4月にオープン。2階建ての施設の延べ床面積は約3309平方メートルで、1階にはそれぞれ床面積755平方メートルのアリーナと多機能ホールがあります。バリアフリーに配慮された設計で、アリーナ2階には1周約100メートルの「視覚障害者用ランニングコース」が設置されています。屋外には手こぎ式の井戸が設けられ、地域の防災拠点としての役割も果たしています。

居室データ

所在地
329-2162 栃木県矢板市末広町49-1 地図
施主
矢板市
設計
株式会社 フケタ設計
オープン
2024年4月
席数
216
(移動観覧席のみの席数)
関連リンク
矢板市文化スポーツ複合施設 WEbサイト