あきた芸術劇場ミルハス
中ホール

2024.07.11
劇場・コンサートホール
撮影/篠澤建築写真事務所
撮影/篠澤建築写真事務所

施設説明

演劇やダンスなどの舞台公演向けの中ホール

秋田県民会館と秋田市文化会館の老朽化による閉館を受け、2022年6月、「あきた芸術劇場ミルハス」が開館しました。県と市が連携し共同整備を行い、整備費などのコスト削減や機能集約による施設の高機能化を実現。解体された旧秋田県民会館の客席のイスは秋田県児童会館子ども劇場に移設されており、県と市が各施設の歴史を大切に受け継ぐ姿勢が伺えます。
旧秋田市文化会館の後を継ぐ中ホールは、演劇やダンスなどを中心とする演目に対応できる臨場感を重視したホールです。演目に合わせた演出を引き立てられるよう、空間をダークグレーで統一。1階席は500席・2階席は300席と、コンパクトすぎず大きすぎない規模により、迫力ある舞台を楽しめます。京都西陣織の緞帳には、秋田夏祭りの竿燈と劇場に近接した千秋公園大手門の堀に植生するハスとツツジがデザインされており、色彩を抑えた空間の中で存在感を放っています。

組子細工の内壁と調和する竿燈まつりの提灯を絣糸で表現したホールイス

客席のイスは、コトブキシーティングの劇場・ホールイスTS-61シリーズをベースに、あきた芸術劇場ミルハスのためにカスタマイズを施した特注品です。組子細工をイメージしたホール内壁に調和するよう、直線的ですっきりとしたデザインが採用されました。曲線が多く使われた大ホールとは対照的な装いです。
真っ直ぐに伸びた天然木の背板には、着席者の身体に沿う立体的なクッションを備えました。モードな見た目の印象と異なるゆったりとした座り心地を提供します。座に内蔵した型崩れしない高密度のモールドウレタンのクッションと波形スプリングが体圧を分散するため、長時間の鑑賞でも疲れにくく快適です。
暗闇に光る竿燈まつりの提灯をイメージした張地は、コトブキシーティングのグループ会社である株式会社FABRIKOがデザインを具現化し、製作を行いました。黒い張地の中に明るいドットが煌めく、秋田らしいファブリックです。張地の詳細については、こちらをご覧ください。

全ての人に優しいバリアフリー仕様の客席構成

大ホール同様にバリアフリーを意識した客席づくりが行われており、1階席10列目の上手側には、常設の車イススペースが設けられました。この列の座席の一部は取り外しが可能な移動席で、最大13席の車イス席を設置することができます。客席を貫く2本の縦通路に面した4席分の肘掛は、車イスから座席への移乗をスムーズにする肘跳ね上げ式です。
客席後方にはソファタイプの親子鑑賞席が並ぶ多目的室があり、子どもを連れた家族が窓ガラス越しに寄り添って舞台を楽しむことができます。
中央ブロックには千鳥配置が採用され、前に座る人の頭で舞台が隠れないようサイトラインを確保。離れた位置からでも席を探しやすいよう、背板の裏側には列番号を大きく記し、座席のナンバープレートには点字も表示しています。
1階席中央ブロックの1~3列目や前方左右のブロックのイスも移動席が採用されており、イスを取り去って花道や前舞台をつくるなど、様々な舞台演出を可能にします。後方には背倒れ席もあり、イスの背を前に倒すとPA卓を設営することができます。

施設概要

あきた芸術劇場ミルハスは、長年に渡って秋田の文化の発信拠点を担ってきた秋田県民会館と秋田市文化会館の老朽化を受け、2022年6月に誕生しました。県と市が連携し共同整備を行い、整備費などのコスト削減や機能集約による施設の高機能化を実現した、全国的にも珍しい文化芸術施設です。大ホールと中ホールのほか、二つの小ホールと練習室、研修室、創作室を備えています。館内の随所には秋田杉が随所に用いられ、曲げわっぱや組子細工など伝統工芸品・伝統技術の意匠で秋田らしさを表現しています。

居室データ

所在地
010-0875 秋田県秋田市千秋明徳町2-52 地図
施主
秋田県、秋田市
設計
佐藤総合計画・小畑設計共同企業体
オープン
2022年6月
席数
800
車いす2席、多目的室4席
テキスタイルデザイン
株式会社FABRIKO
関連リンク
あきた芸術劇場ミルハス WEBサイト
あきた芸術劇場ミルハス 中ホール | 株式会社FABRIKO WEBサイト