新潟県五泉市に誕生した複合施設「ラポルテ五泉」
新潟県のほぼ中央に位置する五泉市。豊かな自然と湧き水に恵まれた、繊維産業のまちとして知られています。
2021年10月、五泉市に交流拠点複合施設「ラポルテ五泉」が誕生しました。
ラポルテ五泉は、全国でも珍しい「劇場」と「産業施設」の複合型施設です。多目的ホールを含む生涯学習エリア、産直ショップとカフェテリアが併設された産業振興エリア、子どもたちの遊び場などの共用エリアから成っています。
館内に足を踏み入れると、明るく開放的なガレリアが広がります。内装の一部には地場産の杉が使用され、モダンな空間にほっとするような温もりを与えています。
そんなガレリアに華を添えているのが、そこここに飾られたカラフルな生地やタペストリー。五泉が誇る産業のひとつ、「五泉ニット」でつくられた、ラポルテ五泉ならではの装飾です。
館内には、地元の特産物を販売する産直ショップとカフェテリアが併設されており、五泉ニットや絹織物も販売しています。
ラポルテ五泉は地場産の木材を建材とし、ニット、織物も家具やサインに用いたデザインが評価され、2021年度「グッドデザイン賞」を受賞しました。
協働開発してつくられた、五泉ニットのイス張地
ラポルテ五泉内に、芸術や学びの場としてつくられたのが、多目的ホールです。固定席とスタッキングチェアを合わせ、最大500席のホールには、コトブキシーティングのイスが納入されました。
木調の落ち着いた雰囲気のなかで、パッと鮮やかな存在感を放っているのが、
移動観覧席です。五泉の湧き水を思わせるブルーの張地は、五泉ニットが使われています。立体感のある編み地の凹凸が、見る人によって雪や桜に見える「花雪柄」は、オリジナルのデザインです。コトブキシーティングの関連会社FABRIKOが手掛けた特注張地で、劇場イスとして求められる耐久性をクリアするため、地元五泉のニット工場協力のもと試行錯誤を重ねてつくられました。
座は花雪柄を引き立てる、明るい色のレザーを採用。デザイン、カラーとともに、五泉らしいイスが完成しました。
1階のステージ付近に並ぶスタッキングチェアは、「
アクシス」が選ばれました。ゆったりとボリュームのある背と座のクッションが特徴で、長時間の鑑賞にも適した座り心地を誇るイスです。張地には、移動観覧席・固定席の座と同色のレザーが使われています。雪を連想させるやさしいカラーが、ホールの空間と調和しています。
張地だけでなく、イスの配置にも工夫がなされています。こちらのホールでは、1列ごとに席の位置をずらした「千鳥配置」が採用されました。前の人と頭がかぶりにくいため、どの席からもステージが見やすい設計です。
人々の想いに応える、フレキシブルな空間
移動観覧席は未使用時、ホール後方の壁面に収納することができます。合わせて、手前に設置されたスタッキングチェアを外せば、広い平土間空間が出現します。
また、一部の壁が可動式になっているため、中庭と一体となった空間活用も可能になりました。移動観覧席を収納したホールは、展示会の会場として利用されるなど、多彩な活用がされています。
劇場としての利用だけでなく、さまざまなイベントにも対応できる、フレキシブルな空間が実現しました。
人々の夢と想いが詰まった複合施設、ラポルテ五泉。オープンからわずか51日で来場者数10万人を達成するなど、日々賑わいを見せています。
集まる人の笑顔とともに、施設利用の可能性がどんどん広がることが期待されています。
施設概要
ラポルテ五泉は、約2万4,000 ㎡の敷地に床面積3,700㎡の建物と3つの広場をもつ五泉市の交流拠点複合施設です。「ポルテ」はフランスやイタリア語で「扉」や「門」という意味で、「五泉市の発展に向け新たな扉が開かれる拠点になってほしい」という願いを込めて付けられました。
館内には、地元の特産物を販売する産直ショップとカフェテリアが併設されており、五泉ニットや絹織物も販売されています。木造建築を生かしてユニークな遊具を備えた「子どもの遊び場」は、ネットや木製滑り台、ボルダリングなどの遊具が大人気。大人も子どもも楽しめる地域の交流拠点として、多くの人が訪れています。
ラポルテ五泉は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2021年度『グッドデザイン賞』、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が主催する2021年度『キッズデザイン賞』を受賞。また、木材利用推進中央協議会が主催する令和3年度木材利用優良施設コンクールで、木材利用優良施設の優秀賞も受賞しました。