フェニーチェ堺
小ホール

2022.10.27
劇場・コンサートホール

施設説明

幅広い催しに利用できる、フェニーチェ堺の小ホール

フェニーチェ堺には、2000席の大ホールのほか312席の小ホールもあります。エントランスに入り、創作・交流ガレリアと呼ばれる吹き抜けの空間に隣接するのが、小ホールです。音楽系の催しをメインとしながらも、落語や文楽を含む幅広いジャンルの演目に対応できる多機能型のホールとしてつくられました。舞台上の音響反射板を設置するとシューボックス型のコンサート会場に、ホリゾント幕を設置すると演劇や講演会場に早変わりします。一般利用もしやすく、市民や学生の発表・学習の場として、多彩な催しに利用されています。

誰もが見やすく使いやすい客席

長方形のボックス型をした小ホールは、1層目の階段状の客席と、2層目の左右のバルコニー席から成ります。
1層目の客席は、中間の横通路の前と後ろで段差を変えました。左右のバルコニー席では、イスを1席ずつ独立させ、座った時に舞台が正体に見える角度になるよう、ぎりぎりまで手すり側に寄せて設置しました。いずれも、どの客席からも舞台が見やすいよう、工夫された配置です。
客席の一部には、イスの背を倒すことができる「背倒れ席」を導入しました。PA卓などを使用する催しの際、一部のイスを取り外して機器を設置することがありますが、背倒れ席を導入することで、取り外さずに背を倒すだけで機器の設置が可能になります。操作は、イスの背後から背もたれを持ち上げて前に倒すだけ。初見のスタッフでも、容易に操作することができます。
1層目の中間通路付近に用意された車イス利用者のためのスペースは、ホールの外からアクセスしやすいことに加え、見やすさにも考慮して配置されました。

座り心地に機能性を加えた、フェニーチェ堺のためのオリジナルのイス

客席に並ぶイスは、建築家 柳澤孝彦氏がフェニーチェ堺のためにデザインした、大ホールと同じ特注品です。
わずかに丸みを帯びた背のトリミングや、脚部と一体となった特徴的な肘当てが、直線を基調としたホールに柔らかな印象を与えています。木口を斜めにカットした背板は、ナンバープレートの視認性も高めています。
背もたれには、身体にフィットする三次元形状に成形したウレタンフォームを設置。着座時の状態を優しく支えます。座には、長時間の着座でも疲労を感じさせないコトブキシーティング独自開発のバネを内蔵しました。さらに、座の先端に向かって厚みが薄くなる「スペーシア」を採用し、足元が自由に動かせる範囲を広くしました。

張地は、コトブキシーティングのテキスタイルデザインを手掛けるFABRIKOによるオリジナルです。少し黄味がかったブラウン色の木部に合わせたのは、建築の色彩コンセプトである「千利休の茶の湯をイメージさせる緑(利休鼠)」にちなんだ「利休ねず」色の平織布地。緑みの鼠色が、落ち着いた茶の湯の「わび・さび」の世界観を表現しています。

施設概要

フェニーチェ堺は、1965年に会館した「堺市民会館」の老朽化による建て替えで誕生しました。「フェニーチェ」は、イタリア語で不死鳥を意味します。堺のまちが長い歴史のなか、戦禍により焦土と化しても不死鳥のように蘇ってきたことや、中世にイタリアの自由都市・ヴェニスの如しと称されていたことから付けられました。建物の設計コンセプトは、中世の自由・自治都市を彷彿とさせるデザイン。茶の湯文化が隆盛した堺らしい、落ち着いた佇まいで、木々の緑と調和した憩いと安らぎの空間を実現しています。施設の各所には、「朱印船の赤」と「千利休の茶の湯をイメージさせる緑(利休鼠)」が起用され、空間に彩りを添えています。
大小二つのホールのほか、三層吹き抜けの創作・交流ガレリアをはじめ多目的室、スタジオ等が併設。施設と隣り合う翁橋公園と共に、市民の憩いの場として、日々の暮らしに彩りを添えています。

居室データ

所在地
590-0061 大阪府堺市堺区翁橋町2-1-1 地図
オープン
2019年10月
席数
312
施主
堺市
設計
株式会社 柳澤孝彦+TAK建築研究所・株式会社MORIデザイン建築事務所設計共同体
テキスタイルデザイン
株式会社FABRIKO
関連リンク
フェニーチェ堺 Webサイト