ドルトン東京学園に学ぶ、生徒が主役になる学びの場づくり
文教施設協会主催「学校施設づくり研究会」レポート

2023.09.04
レポート
一般社団法人文教施設協会が主催する「学校施設づくり研究会」。2023年6月27日、その第一回がコトブキシーティングのショールームで開催されました。
普段は劇場やホールのイスを展示しているフロアは、設計事務所や関連企業の方など、約50名の参加者によりあっという間に埋め尽くされました。



この研究会は、「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について、有識者を囲んで(文教施設協会の)会員と共に考え、学校施設の整備に資するため実施する」ために、定期的に開催されている勉強会です。
今回のテーマは、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現のための学校施設づくりを考える」~学校法人ドルトン東京学園の事例をめぐって~。

ドルトン東京学園は、2019年に開校した中高一貫教育校です。今からおよそ100年前に、米国の教育家ヘレン・パーカストが提唱した学習者中心の教育メソッド「ドルトンプラン」を学校の柱としています。「自由」と「協働」の二つの原理に基づく「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」を軸としたドルトンプランは、一人ひとりの知的な興味や旺盛な探究心を育て、個人の能力を最大限に引き出すことが大きな特徴です。

前半は、学園の特徴ある教育について、学校法人ドルトン東京学園 理事/ドルトン東京学園中等部・高等部 校長 安居長敏氏と、校舎の設計を担当した株式会社松田平田設計 総合設計室 第5建築設計 部長 藤井久生氏、主管 野呂学氏、主任 中野雄太氏がそれぞれ、施設計画を軸に講演されました。

最近は、生徒が自ら課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく「探究的な学び」が、多くの学校で積極的に行われています。その一歩も二歩も先を行くドルトン東京学園の取り組みについて、参加者は皆、メモを片手に熱心に耳を傾けていました。


先生の話を聞くこと以上に、グループワークやディスカッション、プレゼンテーションの場が多いというドルトン東京学園の授業。コトブキシーティングでイスを納入した講堂は、階段状の客席と立派なステージが揃っているため、プレゼンテーションの場として日頃から活用されているとのこと。非常に嬉しい限りです。

学園の教育スタイルに合わせてつくられた校舎は、「学びのかたち」に合わせて空間がシームレスにつながるプランです。個人、少人数、グループ、クラス、ハウスなど、学びの性質に合わせた空間がナチュラルにつながることで影響を与え合い、刺激やつながりを誘発させることを狙ってつくられているそう。シームレスな空間で学ぶことで、色々なところからインスピレーションをもらい、生徒たちのより豊かで自由な発想が育まれそうです。空間のつくりかただけでなく、その中で使う家具や設備においても、素材や機能、コンセントの位置や個数などの細かなところまで、実際の使われ方を想定しているからこそ生徒たちがのびのびと学べているのだと感じました。
開校後も、実際に利用しながら、よりフィットする施設にするべく進化をつづけているとのこと。使われつづける限り、完成ということはないのですね。さまざまな場所で学ぶ生徒たちの生き生きとした表情が、とても印象的でした。

後半は、東洋大学名誉教授の長澤 悟氏がMCを務めるディスカッションタイムです。講演を聞いた参加者から、次々と質問が出てきます。「従来とは異なった教育方法について、先生方はどのようにその指導方法を身に付けたのですか?」「授業中、生徒はどのように動いているのですか?」「GIGAスクール時代、掲示や実物展示は必要だと考えていますか?」施設計画や設備等のハード面のみならず、ソフト面の質問も多く飛び交いました。



会の締めくくりは、参加者同士の交流会です。滅多に顔を合わせることのない参加者たちが、談義に花を咲かせて、充実した時間を過ごしていました。



探究型授業、GIGAスクール構想など、教育施設の環境は目まぐるしく変化しています。コトブキシーティングはこれからも学校づくりの一端を担う企業として、お役に立てれば幸いです。

取材日:2023年6月27日
取材:広報企画部 M.A

関連リンク

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株式会社松田平田設計 WEBサイト ドルトン東京学園中等部・高等部 | 教育・研究 | 実績紹介

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