産官学の連携で誕生!スーパーマーケットの中に生まれた、地域まちづくり支援拠点「イズミヤ ゆいテラス河内長野」

2021.09.16
レポート
関西エリアに81もの店舗を構え、地域住民の日常を支えるスーパー「イズミヤ」。イズミヤには、食品のみを扱う食品スーパーと、食品以外も扱うショッピングセンターの、二つの店舗形態があります。2021年4月、オープンから48年を迎えるショッピングセンター河内長野店で、新しい取り組みが始まりました。
家庭用品や家電の売場だった4階のフロア全体を、地元の公共団体に無償で貸し出し、住民のための地域まちづくり支援拠点「イズミヤ ゆいテラス河内長野」としてオープンしたのです。産官学の連携で生まれた、新たなスペース。地域活性化への期待も高まる、いま注目の施設を訪ねてきました。
※2021年7月現在の店舗数


こんなところに地域住民の交流拠点が?!



河内長野市は、梅田から車で50分ほど南東に下った、自然豊かな丘陵地帯にあります。1970年代から90年代前半にニュータウンとして開発され、2000年には12万人以上の人口を誇る住宅地でした。しかし、ここ近年は人口が減り、少子高齢化が急速に進んでいます。
そんな河内長野市の住民の生活を支えているのが、地域住民の生活に密着したスーパー「イズミヤ河内長野店」。日々、多くの住民が訪れる河内長野市のシンボルです。
地域密着型のスーパーだからこそできる、新たな取り組みはないだろうか。
フロアのリニューアルをきっかけに、店舗の在り方も改めて見直されました。そこで生まれたのが、地域まちづくり支援拠点「イズミヤ ゆいテラス河内長野」です。

産官学の連携で実現した、スーパーマーケットの新たな形態

イズミヤ河内長野店を運営するエイチ・ツー・オー商業開発のグループ企業であるエイチ・ツー・オーリテイリングは、もともと河内長野市と連携協定を結んでいました。店のリニューアルはその両者のほか、市内でまちづくりの実績がある関西大学も加わり、「産官学」一体となったプロジェクトとして進められました。「建物を生かしたリノベーションにより、地域住民の居場所や活動が生まれる場所をつくるにはどうしたら良いか」をテーマとし、その一環として、オープン前には関西大学と共に老朽化したベンチや手すりを、住民と一緒にペイントするワークショップも開催。さまざまな住民が参加し、成功を収めました。

※提供:エイチ・ツー・オー商業開発 原田氏

買い物のついでに気軽に立ち寄れる場所づくり

店内のエスカレーターを4階まで上ると「イズミヤ ゆいテラス河内長野」がフロア全体に広がります。



開業当初、この施設はボーリング場としてつくられました。フロア内に大きな柱がないため、ワンフロアの開放的な空間が広がっていることが特長です。フロアの中央にあるのは、社会福祉法人 河内長野市社会福祉協議会と相談窓口。その周囲には、障がい者就労継続支援事業所やボランティアセンター、そしてさまざまな用途で利用できる多目的スペースが並んでいます。
生活に関することや子育てに関する相談をしたいとき、どの窓口に行って良いのか分からないという住民も、スーパーに買い物に来るついでに気軽に立ち寄ることができます。「地域の福祉を見える化する場所」としても期待されています。
 


フレキシブルな活用を実現する空間の仕掛け

社会福祉協議会に隣接して、三つの多目的スペースが設けられました。最も広い大多目的スペースの壁面は引き戸になっており、全て開くと周囲のコワーキングスペースと一体となった利用が可能です。コロナ禍でのオープンということもあり、現在の利用は、会議や研修がメインとのこと。これからの活用が楽しみなスペースです。



家具と内装は、関西大学の監修のもと、フロア全体の設計施工を手掛けた大阪府森林組合によって設計されました。
柱と梁をはじめとした木材のほとんどに、地域材が使われています。ところどころに「おおさか河内材」の刻印が押され、見た目にも印象的。天然木の温もりがフロア全体を柔らかく包み込み、心地よい雰囲気をつくり出しています。
テーブルの天板には「おおさか河内材」であるヒノキと杉を、大テーブルの脚部には「だんじり」で使用されていた木材を利用しています。イスのカラーリングは、1階広場のベンチとリンクしています。周囲の豊かな自然や町並みとのつながりの中で映える、カラフルでポップな色合いは、雨の日や利用客が少ない時でも、華やかさを感じることが出来ます。
 




知ってもらうための活動は、学生や住民にも参加してほしい

オープンに合わせて発刊されたのが、ゆいテラスでのさまざまな取り組みを紹介する「ゆいテラス通信」です。次号からは、社会福祉協議会・河内長野市・(株)エイチ・ツー・オー商業開発に加え、河内長野市教育委員会と連携協力を結んでいる桃山学院大学も参加した制作を予定しています。
課外活動や部活動の一環として、掲載する写真の撮影や、原稿の一部執筆を学生が担当する予定とのこと。 「ゆくゆくは、学生だけでなく地域の方にも参加してもらえればと考えています」と語るのは、イズミヤ河内長野店のプロパティマネジメント事業および衣料・住居関連品の販売を担う、エイチ・ツー・オー商業開発の原田氏です。



原田氏は、河内長野市の出身。
「久しぶりに帰ってきた時、若い方が町の魅力を伝えようとさまざまな取り組みをしていることに驚かされました。プロジェクト関係者の方々の多様な考え方にも、刺激を受けました。自分が生まれ育った河内長野市で、このようなプロジェクトに関われたのはとても幸運なこと。産官学の連携により多くの立場の方が携わったことで、より良い場所が出来てきているのだと思います。ここから何かが生まれる場所になって欲しい。それが、これからの総合スーパーの新しい在り方として示していけたら良いですね」

コロナ禍にオープンした、地域まちづくり支援拠点「イズミヤ ゆいテラス河内長野」。地域住民を支えるスーパーマーケットの新たなかたちとして、今後が楽しみな施設です。

エイチ・ツー・オーリテイリングの社会貢献活動(CSR)についてはこちらをご覧ください。
 

取材日:2021年7月
取材:広報企画部 M.A

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