座席の破損を経て、頑丈な観覧席への改修計画がスタート
「熱田球場」の名で親しまれる熱田神宮公園野球場「熱田愛知時計120スタジアム」は、1950年の開場以来、愛知県の高校野球の聖地として親しまれてきました。内野側に並ぶ約9,000席分の長ベンチの観覧席は、数々の大会や試合を見守ってきましたが、その素材の特性から飛んできた打球による破損が度々発生していました。そのため始まったのが、丈夫な観覧席への改修計画です。
工事は複数回に渡って実施され、2023年3月にすべての座席が新しく生まれ変わりました。ブルーとオレンジだった観覧席のカラーを継承しつつ、優れた機能性を持つ頑丈な座席への進化を果たしています。
ブローモールディングによる優れた特性と快適な座り心地
リニューアル後の座席は、これまでと同じ背もたれのないベンチタイプの
「BLM-3600」シリーズです。横幅が1200mmと800mmの2種類を組み合わせて並べることで、緩やかな弧を描くレイアウトを実現しました。
BLMシリーズは、高密度ポリエチレンに空気を入れて成形する「ブローモールディング」を採用しています。これにより、イスの内部には硬質なボールが当たったときの衝撃を吸収する中空構造「ダブルシェル」が形成され、ボールが当たっても割れにくい高い衝撃耐性を実現しています。
退色や劣化の原因となる紫外線にも強く、屋外施設の観客席に最適です。また、炎天下の夏や寒い冬の時期でも、席が熱くなったり冷えすぎたりする心配がないため、一年を通して快適に座ることができます。
これらの特徴は、多くの屋外スタジアムで評価を得ており、熱田球場での採用の決め手となりました。
バックネット裏にある後半席の最前列26席分には、カスタマイズで背もたれを付けて、居心地を高めました。
ロッカールームには、ベンチのついたロッカーも導入。熱田球場のネーミングライツを担った愛知時計電機株式会社のロゴと同じオレンジでベンチのレザーを彩りました。金物を彩るブルーに映える組合せで、歴史あるロッカールームに新しい印象を与えています。
施設概要
熱田神宮公園野球場は、熱田神宮に隣接する緑豊かな公園内にある、70年以上の歴史を持つ屋外球場です。かつてはプロ野球公式戦も開催され、現在も高校野球や社会人野球、アマチュア大会など幅広く利用されています。愛知県高校野球の聖地としても知られており、地域に根差したスポーツ文化の拠点です。2018年4月より、愛知時計電機株式会社をネーミングライツパートナーとして、「熱田愛知時計120スタジアム」という愛称が冠されました。