しまんとぴあ(四万十市総合文化センター)
しまんとホール

2025.07.11
劇場・コンサートホール

施設説明

市の旧3施設を複合化して生まれた新しい文化活動の拠点「しまんとぴあ」

2024年4月、四万十市総合文化センターしまんとぴあがオープンしました。市内の老朽化した公民館と文化センター、働く婦人の家に代わる、新たな文化活動の拠点です。
文化センターが有した大ホールの役割は、施設1階にある大ホール「しまんとホール」に受け継がれました。席数もこれまでと同等の805席。本格的なクラシックコンサートやアーティストによるライブコンサート、演劇、式典、講演会などの開催が想定されています。館内の内装やホールの天井・舞台には、市特産の四万十ヒノキがふんだんに使われています。

オリジナルの設計で創り上げた、四万十ワインヤードと特別なイス

しまんとホールの客席は、ワインヤードのように複数のブロックごとに段差のある構成が特徴的です。総席数は805席ですが、特定のブロックのみに観客を入れることによって、約300席・450席・600席とイベントに合わせて客席の規模を変えることができます。周辺地域に類を見ないこのオリジナルの客席空間を「四万十ワインヤード」と謳っており、客席全体を柔らかく囲むような六角形のホール形状と相まって、空間全体にダイナミックさと一体感を創出します。1・2階席の中央ブロックには前後半席ずつずらしてイスを並べる千鳥配置を採用し、ステージの見やすさにもこだわりました。
イスは、特注でデザインされました。背いっぱいにクッションを敷き詰め、それを細く縁取る背板の木部をダークブラウンに塗装。座裏や脚部も同じ色で揃え、落ち着いたトーンで高級感を香り立たせます。着席者の背中に沿って三次元カーブを描く背もたれは、曲線が多用された客席構造とマッチし、席全体を穏やかな印象に仕上げます。赤色をベースにした2種類の張地を考案・製作したのは、コトブキシーティングのグループ会社であるFABRIKOです。テーマは、四万十川を彩る四季。縞模様のグラデーションが、四季の風景を映し出す川面のゆらぎを表現しています。赤鉄橋が映る四万十川の水面のゆらぎと煌めきをデザインした引割幕もFABRIKOが手掛け、イスとの調和を図りました。

利用者目線を追求したユニバーサルデザイン

市民に親しまれるホールを目指し、観客のことを最優先に考えた設計は、客席の随所のユニバーサルデザインに現れています。
イスの座は、着席者の膝裏にあたる座の先端部を薄くした「スペーシア」です。この形は座の下の空間にゆとりを生み出すため、演目が長時間に及んだ場合でも足元が広く快適。そして脚を座の下に引き込めば、座席前の通路を行く他の観客をスムーズに通せます。また座席を立つ際に誰しも必ず必要な足を引く動作も、高齢の観客でも身体に大きな負担をかけることなく行えます。イスの選定時にホール関係者がスペーシアと従来の形状の座を座り比べ、採用に至りました。
ホールには車イス席が6席、受付スペースやホワイエから段差なしにアクセスできる多目的室が2室設けられており、誰もが安全安心に楽しめる環境が整っています。

施設概要

四万十市総合文化センターしまんとぴあは、高知県四万十市内の公民館・文化センター・働く婦人の家の老朽化を背景に、2024年4月、新築オープンしました。建設にあたっては、旧3施設と同じくJA高知の建物が建て替えの必要に迫られていたことから、市とJA両者で基本合意書を締結。官民一体で施設の集約化・再配置に取り組むことで、コンパクトシティとしてのまちづくりを進め、中心市街地の活性化やにぎわいの創出を図っています。大小のホールのほか音楽スタジオやキッチンスタジオ、展示室、会議室などを備えており、災害時には避難所としても活用されます。

居室データ

所在地
787-0012 高知県四万十市右山五月町7-7 地図
施主
四万十市
設計
東畑建築事務所・鳥設計共同企業体
オープン
2024年4月
席数
805
テキスタイルデザイン
株式会社FABRIKO
関連リンク
しまんとぴあ WEBサイト
イス張地:四万十市総合文化センターしまんとぴあ しまんとぴあホール|株式会社FABRIKO WEBサイト
ひきわり幕:四万十市総合文化センターしまんとぴあ しまんとぴあホール|株式会社FABRIKO WEBサイト

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