長岡市栃尾地域交流拠点施設 トチオーレ
大ホール

2025.06.03
多目的ホール(可動席)

施設説明

栃尾らしさを表現した、木の温かみを感じる大ホール

新潟県長岡市の栃尾地域は、人口減少や高齢化を背景に、老朽化した市民会館と文化センターの機能を引き継ぎ集約する形で栃尾地域交流拠点施設「トチオーレ」を建設しました。
1階にはホールやスタジオを始めとする生涯学習やコミュニケーションを目的とした居室が、2階には図書館や和室が並びます。1階の共有スペース「ストリートラウンジ」は、お喋りを楽しむ人やバスを待つ人などで賑わっており、そこから小ホールの横を抜けると、施設のなかで最も広さのある大ホールに辿り着きます。天井まで届く大きな窓のある明るいホワイエは、ホールと一続きになっており、二つの居室の間には催しに応じて間仕切りできるスライディングウォールが備わっています。ホールの壁や天井には県産材がふんだんに使われており、上手側の壁一面には、地域の特産品である手まりや織物をデザインした組子細工が施されました。一体利用時の最大収容人数は500人。木が基調の温かみある空間に、多くの住民が集い楽しむことができます。

可動式の客席が、住民の多様なホール活用を推進

大ホールの客席総数は330席で、そのうち220席を構成する座席として選ばれたのが、階段状の客席を展開・収納できるフルオートの移動観覧席でした。トチオーレの建設計画時に、同市内の栃尾産業交流センター「おりなす」てまりホールを施設関係者が視察し、客席として導入されていた同タイプの製品を確認したことに始まります。客席の設営を短時間かつ少ない人手で行えることが評価され、ホールのフレキシブルな活用を目的に採用されました。スタッキングチェア110席と組み合わせて、多様な客席レイアウトを創り上げることが可能です。客席設営時には、ステージを使った演奏会や講演会、映画上映、歌謡ショーなどが行われ、客席を収納した平土間時には、ダンスの練習、健康体操、地域団体の懇親会などに使用されています。従来から市民活動が活発な地域であったことに加え、新しい施設を盛り上げようという機運が高まり、高い稼働率を維持しています。

「地域の子どもにも見せたい」快適な客席はスイッチ一つでメロディとともに動き出す

移動観覧席の展開・収納は、リモートスイッチで操作します。収納ボタンを押すと、イスが折り畳まれ各段が重なり、ホール後方の壁内に設けられた専用の収納庫内で壁面に揃って収まります。展開ボタンを押すと、前列から順番に10段の段床が繰り出され、畳まれていた座席が起き上がって客席になります。これらの動作中には注意喚起のために音楽が流れ、施設職員からは「楽しいメロディでイスが動くので、地域の子供たちにも見せたい」と声が上がりました。
座席は、ワインレッドの張地でウレタンフォームのクッションを張り包んだ、シンプルなデザインのタイプ5R。着席者の体型や体重に合わせて背もたれが湾曲するフィットバック機能を備えているため、スリムな印象ながらも安定感があり、座りやすいと好評です。離席時に座が跳ね上がる音や振動を最大限に抑える、座自動緩起立機構も搭載しました。イスに用いた唯一の木部である肘掛けの天然木は、触覚の敏感な指先に柔らかさを伝える、快適な座り心地の見えない立役者です。

施設概要

老朽化した市民会館と文化センターの機能を引き継ぎ集約するかたちで建設された、長岡市栃尾地域交流拠点施設「トチオーレ」。施設名の由来は、「栃尾で会おーれ(会いましょう)」。複合施設として図書館、大小のホール、各種スタジオなどを備え、2022年5月のオープン以来、施設コンセプトである「多世代交流と憩いの場」「市民活動と学びの場」を体現する賑わいを見せています。

居室データ

所在地
940-0222 新潟県長岡市中央公園1-67 地図
施主
長岡市
設計
中越興業一級建築士事務所
オープン
2022年5月
席数
220
(移動観覧席のみの席数)
関連リンク
長岡市 WEBサイト