世界最高水準のクラシック音楽専用ホールが釜山に誕生
2025年6月、韓国最大の港町として知られる釜山に、新たな音楽ホールが誕生します。
建物外観のデザインモチーフは「揺らぐ波の上を進む船」。建物全体を一つの楽器に見立てた設計コンセプトと融合した特徴的な建築は、延床面積 19,862㎡、地上3階地下1階建てで、2011席の大ホールと400席の小ホールから成ります。
大ホールは、ドイツのベルリン・フィルハーモニーホールや日本のサントリーホールをはじめとした世界的なコンサートホールで採用されているヴィンヤード形式。段々畑状の客席が、中央のステージをぐるりととり囲みます。4,000本以上のパイプと 62個のストップ、4段の鍵盤で構成されたドイツ・フリーブルガー社のパイプオルガンと高度な音響設備を備えた、世界最高水準のクラシック音楽専用のコンサートホールです。
快適なクラシック鑑賞を提供するために追求したイス
クラシック音楽を鑑賞する世界最高水準のホールのために追求したのは、そう呼ばれるにふさわしい内装と客席づくりです。世界的な指揮者で釜山コンサートホールの芸術監督も務めるチョン・ミョンフン氏を筆頭に、関係者が徹底的にこだわって創り上げました。
客席には、2016年に開館したロッテコンサートホールのイスを手掛け評価を得ていた、コトブキシーティングのグループ会社であるコトブキ韓国のイスを採用。釜山コンサートホールのための特別なデザインを施した、オリジナルです。
内装に使用されたレンガに調和するよう、イスには木をふんだんに用いました。1席1席が際立つよう上に向かってすぼまった形状の背板と、構造材を見せずに仕上げた脚部、そしてたっぷりとウレタンの入った背座のクッションが、視覚的なグレート感を高めます。背のクッションの施した2本のキルティングラインがアクセントとなり、客席全体の表情を一層豊かに演出します。
クラシック音楽の鑑賞はイスにゆったりと身体を預けて聴くため、座り心地はとても大切です。着席時に背中全体を包み込むようにサポートし、背中や腰への負担を軽減する背もたれの形状や、体圧を均等に分散させることでお尻が痛くなりにくくする波型スプリングを内蔵した座は、人間工学に基づいて設計されたもの。リラックスして身体を預け、クラシック音楽の世界に没入することができます。
座席の一部には、背倒れ移動席を採用しました。イスを少し持ち上げると脚部のキャスターロックが解除され、その状態で背もたれを前方に倒すと、高さの低い収納庫にもスムーズにしまうことができます。催しに合わせた柔軟なアレンジが可能です。
釜山コンサートホールらしさを創り出す、客席のカラーコーディネイト
華やかさを演出しているイスの張地には、4色の赤系を採用。前方は明るい赤色、上階席にいくに従って深みのある赤色を、ランダムかつグラデーションになるよう配置しました。オリジナルの張地とカラーコーディネイトは、コトブキシーティンググループの
FABRIKOによるものです。ヴィンヤード形式の有機的な客席レイアウトと相まって、ホールに一歩足を踏み入れると気持ちが高揚するような釜山コンサートホール「らしさ」を創出しています。
施設概要
釜山コンサートホールは 、2025年6月に開館予定のクラシック音楽専用のコンサートホールです。釜山市では、公演施設のインフラ整備が課題となっていたため、地域間の文化不均衡の解消とともに、地元出身の芸術家への新たな活動の場の提供、優れた人材の流出を防ぐことも期待されて建設されました。
2027年に完成予定の釜山オペラハウスとともに、釜山の新しいランドマークとして、そしてアジアを代表する音楽専門のクラシックコンサートホールとして注目を集めています。