木のぬくもりや町の伝統を感じられる公共施設
石井町中央公民館は、ホールや、図書室、会議室などを有する公共施設です。施設の経年劣化に対する予防保全策として、天井、壁、床の張り替えとあわせてホールシートの更新を行う、大規模リニューアル工事を実施。癒しと安心の内部空間をコンセプトにした空間づくりを目指しました。木質化を積極的に図った内装は、木ならではの温かな色調と光沢、質感、においが感じられるところが特徴です。
公民館のエントランスには石井町の伝統文化である藍を象徴するデザインを採用するなど、地域の文化や伝統、歴史を感じられる工夫が施されています。
町の文化をイメージした藍色の移動観覧席をホールに設置
石井町中央公民館にはコンサートなどを開催できるホールがありましたが、リニューアルでは600席のうち、270席を
移動観覧席に変更しています。改修前は、移動観覧席のイスの横幅が470mmとやや狭く、改修後は500mmのゆったりとしたイスが設置されています。移動観覧席は階段状の客席を電動・フルオートで展開収納できます。本体にリモートスイッチをつなげて、操作するだけなので、利用シーンに応じて簡単に短時間でセットできます。
展開時は式典や子供たちの発表会などの観覧席に、収納して軽運動やさまざまなイベントにも多目的に活用できます。また、災害時には平土間を避難所として利用することができ、空間を効率的に活用することができます。移動観覧席のイスの張地はグレーから、石井町の伝統文化である藍をモチーフにしたJAPAN BLUEの藍色に近い色にリニューアルしました。また、移動席床とホール床もこだわって、それぞれ深みのある藍色のタイルカーペットでそろえています。町のシンボルとしての風合いが感じられるホールに生まれ変わりました。
デザイン性と座り心地にこだわったイスを配置
ホールの座席は、移動観覧席、固定席、スタッキングチェアともにデザイン性と座り心地を重視しています。
移動観覧席には、シンプルでありながら通気性や強度に優れた
タイプSの搭載イスを採用。張地に高耐久性立体メッシュを使用することで、長時間座っていても蒸れにくく、快適な座り心地を提供します。
2階には固定席のTS-6228が192席納入されています。座にはウレタンクッションを補充し、背座の張り替えとナンバープレートも新しくしました。脚支柱や連結管、肘当ては再利用することで、コストを抑えたリニューアルを実現しています。
さらに、移動観覧席や固定席と併用できるスタッキングチェア
「Axis アクシス」FC-310シリーズを138席導入。リニューアル前に配置していた移動席は重量があり、移動させるのが困難だったため、以前は出したままで運用されていましたが、今回のリニューアルでは1脚あたり約5.5kgと軽量で、持ち運びが簡単です。座面のクッションはウレタンフォームと樹脂繊維コアを組み合わせた二層構造を採用。底づき感のない適度な反発力とボリュームを兼ね備えています。マグネット付きのナンバープレートも採用され、レイアウト後でも工具を使わずに、簡単に席番を変更できます。
なお、移動観覧席・固定席・スタッキングチェアは全て藍色で統一。利便性や座り心地だけでなく、デザイン性にもこだわることで、石井町中央公民館が掲げる「癒やし」の空間づくりを実現しています。
施設概要
石井町中央公民館は、1986年に開館して以降、多くの町民に利用されてきた徳島県名西郡石井町にある公共施設です。建物は築30年を超えてなお耐震強度を満たしているものの、長寿命化のために大規模改修工事を行いました。
リニューアル後の公民館は町民の方々に長く愛用される憩いの場になるよう、癒やしと安全をコンセプトに設計。また、石井町の伝統文化である藍をモチーフにした独創的で美しい藍色を建物の要所に採用することで、癒やしと歴史の両方を感じられる建物となっています。