八女消防本部
仮眠室

2025.03.11
カプセルホテル・仮眠室

施設説明

感染症流行下でも業務を継続、消防署の仮眠室をカプセルベッドでリニューアル

2021年8月、新型コロナウイルスの流行を背景に、総務省消防庁から東京消防庁や全国の防災主管部宛に、万全な感染対策を講じるよう通知が出されました。救急業務に従事する救急隊員たちが、感染症流行時でも適切に業務を継続できることを目指し、「仮眠室の個別化」に向け、取り組みを開始しました。
大部屋に布団を敷いて仮眠をしていた福岡県の八女消防署では、かねてから仮眠環境の改善の要望があったことから、通達を受けてリニューアルを速やかに検討。近隣消防署の仮眠室の見学にも足を運び、導入されていたカプセルベッドの採用を決定しました。過酷な業務の合間にしっかりと身体を休めることは、市民の安全を守ることに繋がっていくと、大きな期待が寄せられています。

スムーズな動線を実現する千鳥配置タイプ、オリジナルでカスタマイズも

仮眠室には15床のカプセルベッドが一列に並んでおり、その向かいに個人ロッカーがあります。カプセルベッドを利用する際は、各自がロッカーから布団などのリネン類を取り出し、仮眠後に片づける手順で利用されています。
今回導入されたSPACE D2シリーズは、消防署の仮眠に適した、上下段のベッドが互い違いの千鳥配置タイプです。一般的なカプセルベッドは上下段のベッドが縦に真っ直ぐ並んでおり、ベッドの隣にハシゴやステップが設置されていますが、SPACE D2シリーズは上段のベッドの真下に昇降用のハシゴがあるため、上り下りからベッドへの出入りを最短距離で行うことが可能。また、上段と下段の動線が重なることがないため、スムーズに緊急出動ができるのです。上段からでも素早く出ることができるよう、斜めに掛けたハシゴをオリジナルで採用しました。

睡眠も休息もばっちり、出動要請を聞き逃さないスピーカーも設置

外装パネルやハシゴはシックなブラックで統一され、内装には気持ちが安らぐ穏やかな白木目が選ばれました。ベッドスペースは寝返りを打てる十分な広さがあり、換気扇スイッチ・調光式のLED照明スイッチ・コンセント・USBポートなど、休息に必要なものが揃っています。ロールスクリーンを閉めれば完全に周囲の視線を遮れるため、睡眠はもちろん、プライベートな空間の確保も簡単。ヘッドボードには通気性の良い布地を張ったパッドがあり、寄りかかってくつろぐ時も、背中が痛くなりません。出動要請の指令を聞き逃す心配をせず、安心して休めるよう、カプセルベッド内には特注でスピーカーも設置しました。
仮眠室を実際に利用する消防隊員からは、見た目の印象よりも中に入ると広くて快適、周囲の音を気にせず休むことができるというコメントが多く集まりました。誰がどのベッドを利用しているか分かるよう、部屋の入口に割り当て表を掲示。ベッドスペースが完全に独立しているため、深夜受付勤務を交代する際に他の隊員を起こすことなく的確に声をかけられる点も、大きく評価されています。

施設概要

福岡県の南西部に位置する八女消防本部は、1本部3署4分署で構成されています。八女消防署の仮眠室は、それ以外の署所における仮眠室の個別化・個室化の対応が終わっていたにも関わらず、スペースや予算の問題からリニューアルに課題を抱えていました。2021年8月に感染症対策として仮眠室の個室化・個別化が「緊急防災・減災事業債」の適債事業となり、カプセルベッドもその対象となる後押しを得て、改修計画が始動。15床のカプセルベッドを導入し、労働環境の改善を図りました。

居室データ

所在地
834-0063 福岡県八女市本村22-1 地図
施主
八女地区消防組合
リニューアル
2022年10月
床数
15