誰でも映画を楽しめる、日本初のユニバーサルシアター
CINEMA Chupki TABATAは、2016年に東京都北区田端にオープンした、日本初のユニバーサルシアターです。目の見えない人や耳の聞こえない人をはじめとして誰でも利用できる映画館として、国内外の劇映画、ドキュメンタリー、アニメーションなどの作品を上映しています。2022年には昨今の映画館で主流となったDCPプロジェクターを導入するためクラウドファンディングを実施し、当初の目標を上回る金額を達成しました。余剰が発生した資金の使途として決まったのが、開館当時に他のシネマより譲り受けた客席イスの入れ替えです。
フランスデザインのシートで創り上げた、「森の中の映画館」
リニューアル前に使われていたイスは、コトブキシーティングのグループ会社である
キネット・ギャレイのデザインで創られています。リユース品であったため老朽化が進んでいた座席でしたが、フランス生まれの洗練されたデザインと座り心地が観客からも好評だったことから、同じキネット・ギャレイのイスが候補に挙がりました。キャパシティの減少もなく導入できる座席として選ばれたのが、Star BRです。
Star BRは、キネット・ギャレイのラインナップの中でも代表的な
Action BRを一回りコンパクトにしたシネマチェアです。背座のウレタンクッションが、着席者の身体をすっぽりと包み込みます。座の下中央部に設けた1本の脚による美しい佇まいは、足元スペースの広い快適な座り心地を実現しています。
イスの張地には、華やかな赤色が選ばれました。森の中の映画館をイメージした青色の壁と緑色の人工芝の床と相まって、カラフルでポップな空間を創り上げています。背もたれの上部には、金色の糸で席番号を刺繍しました。スムースな張地に刺繍することで凹凸が生まれており、目の不自由な人でも指先でなぞって席の位置を確認することができます。
シアター内は段差やスロープのないフラット床ですが、少しでもスクリーンを見やすくする工夫も施しました。全3列のうち最前列の脚を少しだけ低く、最後列を少しだけ高くすることによって、視線の干渉を最低限に抑制。また、背もたれと座の角度設定により、見やすいサイトラインへ自然に誘導しています。
施設概要
視覚障害者の映画鑑賞をサポートしてきた「バリアフリー映画鑑賞推進団体 City Lights」は、クラウドファンディングを経て、2016年9月に日本初のユニバーサルシアターであるCINEMA Chupki TABATAをオープンしました。上映は常時日本語字幕付きで行われ、全席に音声ガイドや本編の音の増幅ができるイヤホンジャックを搭載、また完全防音の親子鑑賞室や車いすスペースも確保されており、誰でもいつでも安心して一緒に映画を楽しめる環境を創り上げています。2022年11月にはDCPプロジェクターの導入を実現し、リユースだった客席イスも新しいものへとリニューアルされました。