袖ケ浦市役所
議場

2024.10.08
議場

施設説明

袖ケ浦の自然を感じさせる、庁舎最上階の議場

千葉県袖ケ浦市は、市役所庁舎の耐震強度不足および老朽化を背景に、市民の安心・安全の確保と災害対策拠点機能の確保と強化を目指し、既存庁舎の耐震補強・大規模改修と新庁舎の建設を行いました。
2022年7月に新築オープンした北庁舎は、既存庁舎と連絡通路で繋がっており、最上階にあるのは議場です。内壁の2面はガラス張りで田園風景と東京湾の景色が一望でき、床に敷き詰められた袖ケ浦の海や波をイメージした青い床材と相まって、市政の風通しの良さを感じさせる開放的な空間に仕上がっています。
バリアフリーの観点から、議員席には車イス対応席とスロープを設置。傍聴席までの通路もスロープ仕様のため、車イスでもベビーカーでも出入りが可能です。また、市民と議員ができるだけ同じ目線になるよう傍聴席と議員席の段差も最小限にし、親子傍聴室も備えるなど、誰もが気軽に参加できる開かれた議場を創り上げました。

必要に応じて動かせる議場家具が空間の多目的活用を促進

議場空間の多目的活用のため選ばれたのは、必要に応じて移動や収納が可能な議場家具です。議場イスは、背もたれ・座・肘掛のそれぞれのパーツを真っ直ぐな輪郭に描いた、シンプルなデザインです。背もたれを低めに設定することで、空間の奥行と広がりを強く印象づけています。ウレタンフォームのクッションは、緊張感のある議会に適した程良い硬さを保ち、一方で、長時間の着席でも疲れにくい座り心地を提供します。ネイビーのビニールレザーの張地は、床材とも色調を合わせ海や波を表現したこだわりのカラーです。
議員席のイスはキャスター移動式。1段高い位置にある議長席・事務局長席のイスは脚部が床に固定されています。議員用イスのようにフレキシブルに動かすことはできませんが、着席時にイスが自動的に机のある前方へ動くスライドフォー機構と、離席時に自動的に正面を向くオートリターン機構を備え、スマートな離着席と整然とした正しい向きの維持をサポートします。
議場机や発言台の木材はユーカリで、内装の壁材と同じ木材を使用し、議場室内全体との調整を図っています。議員席の机は内部のレバーを下げると、机の下部からキャスターが露出し、本体がリフトアップして移動できるレバー式上下機構を装備。発言台にも同様の機構が備わっています。議長席と事務局長席の雛壇は、専用のハンドルを差し込んで回すとリフトアップしてキャスターが出現し、雛壇に固定された机イスごと動かすことができます。

誰でも座りやすいシンプルな仕様の傍聴席と肘メモ台付記者席

傍聴席は、議場家具の木部や内装になじむ、サンドベージュ色の張地で背座を張り包み、ガラス越しに見える風景と調和する色合いとしました。背座は薄くあっさりとした装いですが、1人分間口50cmの座面が肘掛の仕切りなく隣席と繋がっているため広々と使うことができます。記者席には、引き出して使うことができる回転式の肘メモ台を備えており、必要に応じてメモを取る際に利用できます。

施設概要

千葉県袖ケ浦市は、老朽化していた既存庁舎の耐震補強・大規模改修および新庁舎建設を行いました。目指した姿は、安心・安全で、環境に優しく、使いやすく市民に開かれた庁舎です。内装には市に由来のある「望陀布」をモチーフに、布の持つ柔らかさや光、気配を透過させる素材の特徴を取り入れ、明るく親しみやすい空間づくりを実施。外装には袖ケ浦の明るい空や雲に溶け込む色彩を取り入れ、周囲の環境に調和する新庁舎を完成させました。また、議場内や回廊、傍聴席の入り口に接する展望ロビーから、晴れの日には富士山も見渡せ、新たな名所にもなっています。

居室データ

所在地
299-0292 千葉県袖ケ浦市坂戸市場1-1 地図
施主
袖ヶ浦市
設計
大成建設株式会社一級建築士事務所
オープン
2023年7月
席数
85
(傍聴席34席、記者席5席含む)
関連リンク
袖ケ浦市 WEBサイト