気仙沼中央公民館
ホール

2024.04.11
劇場・コンサートホール
撮影:エスエス東京 走出直道
撮影:エスエス東京 走出直道

施設説明

東日本大震災で被災した気仙沼中央公民館が待望のオープン 

気仙沼中央公民館は、東日本大震災の津波で被災した市内の大規模な建物としては最後の復旧工事でした。2021年12月にグランドオープンを果たし、ホール・体育館・スタジオなどを備えた市民待望の憩いの場として賑わっています。 
市内にはアーティストのライブコンサートなどプロの公演を行う気仙沼市民会館がありますが、公民館のホールは演じ手も観客も市民であることから、329席と震災前より客席数を減らし、ゆとりある配置の建設計画が進みました。幅広い演目に活用ができるよう、可動式の反射板や客席のせりなど、舞台転換を可能にする機構も設けています。 

気仙沼らしさがあふれるホールのイス 

客席のイスとして選ばれたのは、コトブキシーティングのラインナップの中でも多くの実績を持つ劇場・ホールイス「Cadenza カデンツァ」TS-71シリーズ。人間工学に基づき設計した三次元カーブの背もたれと、波形スプリングを内蔵した底付き感のない座による、快適な座り心地が特徴です。1席分間口は520ミリメートル、1列分の奥行は950ミリメートルと、ゆとりある設計でゆったりと過ごせる客席を創り上げました。 
クッションの張地には、コトブキシーティングのグループ会社である株式会社FABRIKOが、気仙沼市内に位置する日本最大級のツツジの名所である徳仙丈山のヤマツツジをデザインしました。市民に親しみある花を再現することによって、身近で愛着が持てるようなホール空間に仕上げています。 
木部は張地が映える落ち着いたブラウンカラーを選定し、台座状の列番プレートも木部に色調を合わせた濃い茶色の地に白文字にして、デザインと視認性の両立を図りました。 
いずれも、市長・館長自らがコトブキシーティングのショールームを訪れ、試作を行いながら決定した、こだわりの仕様です。 
階段状16列に並んだうち、最前列の上手側5席は移動席。車イスのまま鑑賞したい時など、必要に応じてイスを床から取り外すことができます。 

豊富な舞台転換パターンで様々なイベントや演目を開催可能に

客席の前5列はせりにセットされた状態であり、座席を床下に展開・収納したり、せりを昇降させたりすることによって、劇場形式・平土間形式・前舞台形式・センターステージ形式に舞台が転換します。 
劇場形式は、前5列を含めた全329席を置いた最もオーソドックスなパターンです。舞台上の側面にある音響反射板を閉めればシューボックス型のコンサートホールに、反射板を開けて幕を下げればプロセニアム型のシアターに早変わりします。 
せりを下げ、前5列分の座席を床下に収納し、せりを舞台と同レベルまで戻せば、舞台と一続きになる広い平土間形式になり、展示会やマルシェ、ワークショップなどの開催に最適です。 
このせりを600ミリメートル上げれば、広い舞台を背景に1段高いステージがある前舞台形式に。舞台側の引割緞帳を閉めて前舞台の背景として使用することもでき、ダンス、バレエや大規模な合唱など、舞台を広く使う演目に適しています。 
せりを600ミリメートル上げたまま、舞台側にスタッキングチェアを並べると、ステージを挟んで客席同士が対面するセンターステージ形式の完成です。演劇やダンスを行う時に、演出の自由度が大きく高まります。 

施設概要

東日本大震災の津波で被災した気仙沼中央公民館が、2021年12月、移転オープンを果たしました。旧公民館と全体面積は同じですが、市民ニーズに寄り添えるよう諸室の使われ方を分析。ホール・会議室にもなるスタジオ群・調理実習室・和室・体育館で構成されています。ホールの客席のイスにあしらったヤマツツジのデザインは案内板の背景にも用いられており、建物外壁は、かつてあった桜並木や夕日に映えるイメージをもとに、朱鷺色(ときいろ)を表現したオレンジがかったピンク色に彩られるなど、公民館全体で気仙沼市の魅力を体現しています。 

居室データ

所在地
988-0025 宮城県気仙沼市内ノ脇一丁目16番6号 地図
オープン
2021年12月
席数
329
施主
気仙沼市
設計
株式会社 岡田新一設計事務所
テキスタイルデザイン
株式会社FABRIKO
関連リンク
気仙沼中央公民館 | 気仙沼市公式ホームページ
テキスタイルデザイン:気仙沼中央公民館 | 株式会社FABRIKO WEBサイト