沖縄県糸満市に誕生した、期待高まる本格的な多目的ホール
2022年4月、糸満市観光文化交流拠点施設「シャボン玉石けん くくる糸満」がオープンしました。
施設の面積の約半分を占める創造発信エリアに設けられたのは、582席の多目的な大ホールです。これまで沖縄県南部にはこの規模の客席を持つホールがなかったため、コンベンションなど大規模な会議やコンサートや演劇・講演会・映画上映会など、プロの公演も含めたイベントを楽しめるホールとして、計画当初から大きな期待が集まりました。コトブキシーティングに求められたのは、ステージ鑑賞にふさわしい座り心地の良い階段状の客席。そして地域のお祭りなどフラットな平土間スペースを必要とする行事にも対応できる、ホール空間づくりでした。
2種類の移動観覧席が空間の多目的活用を促進
客席を構成するのは、フルオートタイプの移動観覧席です。前方4列94席はイスを舞台下に収納する平床タイプの
フォールディングチェアープラットフォーム(FCP)、後方13列488席は階段状の客席をホール後方の壁面に収納する
ロールバックチェアースタンド(RCS)です。どちらの座席も、開催するイベントに合わせてリモートスイッチ一つで簡単に展開・収納できます。必要な客席数に合わせてFCPまたはRCSのみ設営することもでき、RCSには前方7段のみ使用できる中間段仕様も設けたため、何通りもの客席をレイアウトが可能です。
RCSには、席を左右中央の3ブロックに分ける縦通路を2本、側通路を2本、8段目に大きな横通路を1本設け、客席内におけるスムーズな移動を実現しました。また、中央ブロックでは1列ごとにイスを半席分ずらした千鳥配置を採用し、前に座る観客の頭でステージが隠れてしまうトラブルを予防。着席時から鑑賞時まで、居心地の良い客席を目指しています。
座り心地もサイズもゆったりとした座席
移動観覧席に搭載したイスは、天然木を背裏に配したエレガントな装いが特徴の
タイプLです。着席者の身体に沿う三次元曲面の背もたれとたっぷりとした座のクッションが、長時間の着座でも快適な座り心地を実現。イスの一人分間口は540mmと、掛け心地もゆとりがあります。背裏と肘掛の木部はダークトーンに塗装し、張地は宝石のガーネットを思わせる落ち着きある深い赤色で統一しました。
ホール2階後方のガラス張りの鑑賞エリアは、親子連れや車イス利用者でも気軽に利用が可能です。このスペースに設置した10席の固定イスも、移動観覧席と同じ仕様で揃えています。
施設概要
「シャボン玉石けん くくる糸満」は、糸満市の魅力を発信し様々な体験や交流を図りながら観光客の誘客や地域文化の発展を目指す、観光文化交流拠点施設です。可動式の客席を持つ大ホールのほか、多目的室、会議室や企画展示室などの他、コンサートを開催できる開放的なロビーやホワイエも備えています。2022年4月の開館以来、各居室ではプロの公演からセミナー、成人式、地域の祭りまで幅広い催しが行われて来ました。市の新たな観光文化交流拠点施設として、賑わいを見せています。