指宿市民会館
大ホール

2023.05.11
劇場・コンサートホール

施設説明

市民が利用しやすい新たな市民会館

2022年7月、鹿児島県指宿市に新しい市民会館が誕生しました。
旧市民会館の老朽化に伴い新設された新市民会館は、体育館やレクチャールームなどがある「ふれあいプラザ なのはな館」の隣に建てられ、一部の居室を共有することで施設の集約化を図っています。
1階のホワイエは、隣り合う芝生広場と一体となった利用も想定されており、市民に開かれた施設としての工夫が随所になされています。
施設内の大ホールのキャパシティは、約800席。コンサートや演劇などのプロ公演のみならず、市民でも利用しやすい客席数です。

快適さと使いやすさを大切につくられた客席

客席に並ぶのは、TS-19シリーズのイスです。納入にあたっては、数多くのイスのサンプルを座り比べ、じっくり時間をかけて選定されました。
座席の背もたれには身体を包み込むようにフィットする三次元曲面のウレタンフォーム、体圧を均等に分散する波型スプリングを座に内蔵することで、長時間の着座でも無理の無い姿勢を保ち、快適に過ごすことができます。
座には、健やかな座りのために開発された「スペーシア」が採用されました。座の先端部分が薄くなっており、横から見ると三角の形状をしています。スペーシアは着座時に足を動かせる範囲が広く、また深く引き込むことができるため、身体の重心を大きく移動させずに立ち座りすることができます。
客席前方の左右には、2種類の車イス対応席を設けました。車イスのまま鑑賞できるエリアと、劇場イスに移乗して鑑賞できるエリアです。移乗用のイスは、通常のイスと同じ意匠ですが、通路側の脚部パネルが外側に開くことで座りやすくなっています。
小さな子どもから高齢者、そして身体機能に障害のある人も、無い人も、施設を訪れるすべての人が快適なひと時を過ごせるよう、細やかな配慮がされています。

指宿市らしさにこだわったオリジナルのイス張地

ホールをひときわ華やかに演出しているのは、イスの張地です。
指宿市の要望を基に、株式会社FABRIKOがデザインしました。
近くで見ると、朱色の中にランダムなストライプと幾何学模様が浮かびます。

張地のパターンは、指宿市内にある「成川遺跡」や「橋牟礼川遺跡(はしむれがわいせき)」から出土した、「成川式土器(九州地方南部に分布する古墳時代の土器)」をモチーフに、その土器の紋様を重ねて地層をイメージしたデザインです。
朱色のベースにカラフルな光沢感のある糸を織り込むことで、見る角度や照明の当たり具合によって印象が変化し、客席全体に豊かな表情をつくりあげています。

橋牟礼川遺跡は、縄文時代と弥生時代以降の時系列の関係性を初めて学術的に証明した、歴史的にも重要な価値ある遺跡です。イス張地のモチーフにすることで、地域の歴史や文化を知ってもらい、継承のきっかけになればという、指宿市の願いが込められています。
開館後の館内ロビーには、張地の紋様や土器についての説明パネルも展示されました。

多くの人に指宿の魅力を知ってほしいという願いが込められた市民会館。市を活性化させるシティプロモーションの一つとして、にぎわいの創出につながることが期待されています。

施設概要

2022年7月に供用を開始した指宿市民会館は、旧市民会館の老朽化により移転新築された施設です。バリアフリーに配慮された建物は、805席を有する大ホールのほか、来館者がくつろぎながら展示物を楽しめるホワイエ、創作活動室などで構成されています。指宿市の新たな文化創造や、地域経済の向上等に寄与する芸術文化の拠点を目指した新しい市民会館です。

インタビュー


地域の魅力を発信する
プロにも市民にも開かれた施設づくり

居室データ

所在地
891-0404 鹿児島県指宿市東方9300-1 地図
施主
指宿市
設計
安井・肥後設計共同企業体
オープン
2022年7月
席数
805
関連リンク
指宿市民会館 指宿市WEBサイト
テキスタイルデザイン: 指宿市民会館 | 株式会社FABRIKO WEBサイト