岐阜市役所
岐阜市議会議場

2023.05.18
議場

施設説明

伝統文化をモチーフにした岐阜市議会議場

日本の中央に位置する岐阜市は、岐阜県の県庁所在地でありながら市内中心部を清流長良川が流れ、緑豊かな金華山がそびえるという自然にあふれた街です。1300年の歴史を誇る長良川鵜飼や織田信長ゆかりの岐阜城など、歴史の街としても知られています。
2021年5月、さまざまな行政機関が集まる中心部に、新庁舎が開庁しました。バスでのアクセスも良く、車で来庁される方のための5階建ての立体駐車場を併設しています。
「市民に親しまれ、長く使い続けることを前提とした庁舎」を基本理念に掲げ、利便性の向上や周辺環境との調和、防災拠点としての機能の充実などを図っています。

18階建ての庁舎は、低層階と中・高層階で機能が分かれています。低層階は市民利用の多い行政窓口のほかに、市民の憩いの場となる交流スペースが配置されており、市政や観光などの情報提供もスムーズに行えます。
その4階に位置する議場は、岐阜市の伝統工芸である岐阜提灯や岐阜和傘をモチーフとしたデザインになっています。曲線が印象的な天井には、提灯の火袋を想起させる間接照明を設けており、柔らかな光が室内を明るく照らしています。 

基本的な機能を確保しつつ、誰もが使いやすい議場にする工夫

議場の家具は、床固定式の机とイスが採用されました。イスは離席すると自動的に定位置へと戻るため、いつも整然とした状態を保てます。議会システムなどの操作が多い事務局席の最後列には、動きやすさを重視して、キャスター付き移動式が採用されました。各机は内壁に合わせた柾目模様を採用し、正面の仕上げに象嵌を施して、調和的な空間を演出しています。
議会の基本的な機能以外にも、傍聴者や登壇者など誰もが使いやすいための二つの工夫が取り入れています。

一つ目は、最新の議会システムです。
机には、発言のためのマイクや議決のためのスイッチのほかに、新たな議会システムが採用されています。議長席や演台、壁面にモニターを設置することで、出席議員数や発言の残り時間、投票結果の確認などがタイムリーに行えます。

二つ目は、ユニバーサルデザインへの配慮です。
演台は、登壇者の身長や、座位・立位、車イス利用者でも使いやすいよう、電動昇降式が採用されています。登壇者自身が天板下のレバーで高さを調整できるうえ、事務局席からも操作ができるようになっており、議会のスムーズな進行が可能です。
議員席の後方には、議場全体が見渡せる傍聴席エリアが設けられました。その一角は周囲からの視線や音漏れに配慮した、個室タイプの親子席になっています。内部にはスロープも設置されており、ベビーカーを持ち込んでの傍聴も可能です。

最新システムの導入だけではなく、家具や議場全体にユニバーサルデザインを採用し、感染症対策の設備も取り入れた、新しい岐阜市議会議場。岐阜市の新たなシンボルとして注目されています。

施設概要

18階建ての岐阜市新庁舎は、自然災害への備え、老朽化やバリアフリー対応など、前庁舎が抱える諸課題の抜本的な解消などを目的に新設されました。
低層階には、市政や観光などの情報提供のほかに、談話や休憩に利用できる「市民交流スペース ミンナト」があります。4階議場近くには、市の山である金華山にちなんだ植栽がされた屋外スペース「みどりの丘」が設けられ、それぞれが憩いの場となっています。
中・高層階には事業部門の機能をまとめることで、来庁する事業者へ配慮をしているほか、危機管理を担当する部署を近接させるなど、市民や事業者の利便性向上と職員の業務効率化を図っています。

居室データ

所在地
500-8701 岐阜県岐阜市司町40-1 地図
施主
岐阜市
設計
設計・監理/佐藤総合計画・司・Ai設計共同体
開庁
2021年5月
席数
135
※傍聴席・記者席を含む

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