奈良県コンベンションセンター
天平ホール

2023.02.24
多目的ホール(可動席)

施設説明

多目的に活用できる「天平ホール」

奈良公園と平城宮跡の間に位置する奈良県コンベンションセンターは、2020年4月に開業しました。文化や観光の交流拠点としても親しまれている、奈良県最大の会議場です。
コンベンションセンターの2階に設けられたのは、約600㎡の劇場空間「天平ホール」です。
天平ホールでは当初から、演劇や映画上映などの観覧に加え、平土間を利用した展示イベントなど、より多目的な活用が計画されていました。そのために採用されたのが、移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)とスタッキングチェアを組み合わせた客席です。
移動観覧席は、階段状の客席をリモコン一つで展開・収納ができる電動で操作をする観覧席です。移動観覧席の前方にスタッキングチェアを並べることによって、最大484人が収容できます。
一般的な移動観覧席は、客席前方から通路を上って自席へアクセスしますが、導線をスムーズにするため後方からもアクセスできるようにしたいという要望を受け、移動観覧席の背面に階段を設置しました。イベント中でも他のお客様の観劇を邪魔することなく離着席ができる配慮です。

複数のモードを搭載した移動観覧席

移動観覧席は、ホールの用途に応じて設置する位置を変えられる前方移動式です。催しの規模や人数に応じて設置場所を選べるよう、四種類のモードが選択できます。
モード1と2は、移動観覧席を展開して使用するモードです。
モード1は、ホールの後方に設置し、スタッキングチェアを組み合わせることで最大席数が確保できるレイアウトです。
モード2は、移動観覧席をステージに近づけて設置するレイアウトです。客席数が少ないイベントでも、移動観覧席を使うことによって後方からも舞台を見やすい環境をつくりだします。
モード3と4は、移動観覧席を展開させず、収納した状態のまま移動して活用するレイアウトです。
ホール中央部に置くことによって空間を二分割できるモード3は、一つのホールで異なる催しを行う際の仕切りとして効果的です。
モード4では、移動観覧席本体をホール前方の壁面まで移動させます。この時、ホール後方のスライディングウォール壁を全面開放することで、その先のホワイエとつながり、開放的な平土間空間が生まれます。このレイアウトにすることで、広いスペースを必要とする様々な催しを行うことができます。

横縞模様が特徴的なホールの内装には、奈良県産の木材がふんだんに使われました。収納時に壁面となる移動観覧席の前幕板にも内装とデザインを合わせた横縞模様をあしらい、一体感を演出しています。

天平文様をモチーフにしたオリジナルのイス張地

移動観覧席に搭載したイスは、シンプルなデザインのタイプ5Rです。着座時にイスの背上部が身体に合わせて湾曲する「フィットバック機能」により、コンパクトながらも座り心地が良く、⻑時間の着座でも安定した姿勢を保持します。
座には離席すると緩やかに自動起立する機構を搭載しました。離席時の衝突音や振動が発生しないため、ホールの静寂を保ちます。
イスの張地は、天平ホールのためにご要望を伺い、株式会社FABRIKOが手掛けたオリジナルデザインです。国宝・正倉院の代表的な宝物である楽器、「紫檀木画槽琵琶(したんもくがのそうのびわ)第3号」に施された天平文様がモチーフとなっています。紫檀を思わせる深みのある茶系をベースに、木画の天平文様を華やぎのある色糸で表現。ホールに、奈良らしい印象を醸し出しています。光沢感のある糸と張地表面の微妙な凹凸により、見る角度や、光の当たり具合によって文様が浮き出たり薄くなったりと、織物ならではの味わい深い表情になっています。
「天平文化に思いを馳せ、古都・奈良らしさを感じられるデザイン」をコンセプトとした、賑わいと交流の拠点にふさわしい、知性と感性に響くデザインです。

多目的活用の幅を広げる移動式ステージ

ホールのステージには、移動式のFS-060が採用されました。1m×2mのステージを複数台組み合わせて、1台の大きなステージとして使用します。
5段階の高さ設定ができるため、催しに応じた多様な空間を創出できる、利便性の高いステージです。
 
開業前からさまざまなメディアに取り上げられ、注目度の高い奈良県コンベンションセンターの天平ホール。クラシックコンサート・親子で楽しめるワークショップ・学会など、多様なイベントの開催により日々賑わいを見せています。

施設概要

奈良県コンベンションセンターは、2020年4月1日、県内最大のコンベンション施設として古都・奈良の中心部に開業しました。地下2階地上2階の建物には、日本で最も多い世界遺産に囲まれる奈良らしく、寺院建築を彷彿とさせる格子梁の屋根や、奈良県産木材をふんだんに使用した天井や壁で構成されています。国際会議もできる大小さまざまな会議室を含むコンベンション施設を中心に、世界有数のホテルや観光振興施設が隣接し、MICEを中心とした様々なイベント開催施設として利用されている施設です。

居室データ

所在地
630-8013 奈良県奈良市三条大路1-691-1 地図
オープン
2020年4月
席数
484
※移動観覧席とスタッキングチェアの合計
施主
奈良県
設計
株式会社大林組・株式会社梓設計
テキスタイルデザイン
株式会社FABRIKO
関連リンク
奈良県コンベンションセンター WEBサイト
テキスタイルデザイン:奈良県コンベンションセンター | 株式会社FABRIKO WEBサイト