岩美町中央公民館
いわみんホール

2021.02.25
多目的ホール(可動席)

施設説明

生まれ変わった岩美町中央公民館に誕生した「いわみんホール」

岩美町中央公民館があるのは鳥取県の最東北端にある人口1万1千人ほどの町で、美しい海をはじめとした豊かな自然に恵まれています。特に浦富海岸(うらどめかいがん)は県内有数の絶景スポットとして有名です。
住民を中心とした多様な人々の交流による地域づくりを大切にしているこの町で、岩美町中央公民館は1974年の開館以来40年以上にわたり、地域住民の活動拠点として活躍してきましたが、建物の老朽化と耐震化の観点から再建を求められ、2019年10月にリニューアルオープンしました。 施設内にはこれまでの講堂に代わり、「芸術文化の創造」をコンセプトにした多目的ホールが計画され、新しく電動式移動観覧席を導入したことにより、町の伝統・文化の継承、芸術観賞やその体験、多様な住民活動の実践の場として幅広く利用できるフレキシブルな空間になりました。
ホールの壁面には海の波を連想させる装飾が施されており、浦富海岸の海面の揺らぎをモチーフにしたイス布地の配色と相まって、この町らしい雰囲気をつくり出しているのが印象的です。

空間を多目的利用、安心設計の電動式移動観覧席でスムーズに可変

旧施設内の講堂の客席は平床にパイプ椅子を並べるだけのもので、客席前後の高低差がないためにステージへの視線を確保しづらい設えでした。また、パイプ椅子の配置作業は時間がかかる上に、併設された図書館に作業音が伝わり静粛性を妨げるなど、いくつかの改善すべき問題がありました。

改修に当たり、「誰もが気軽に安心して集まり、交流し、利用できる場」として、よりよい空間をつくるために選ばれたのが、電動式移動観覧席(本体:RCS-72フルオート壁面収納タイプ/イス:タイプ5R)で、簡単な手元のリモートスイッチ操作により自動でスムーズに階段状の観覧席を設置できます。この観覧席は誰でも簡単に効率よく操作できるよう、各部に安全装置を備えており、また足元にすき間がないフラットな仕上がりの手すりのデザインなど、細部まで安全性に配慮した安心設計になっています。
ホールの前方は平床にスタッキングチェアを配置して客席(140席)を作り、後方は移動観覧席(160席)、最後部は2階席で、移動観覧席と同意匠の固定イス(40席)が設置されています。1階席のイスを収納したイベントにおいても2階で着席して楽しむことができます。
移動観覧席は2階席下部の建物と一体化された収納部に収めることができるため、観覧席を収納するとホールは平土間になり、客席を使わない活動をする際には広く、すっきりとした空間を利用できます。

機能的で美しいイス

移動観覧席の背・座はスリムながらクッション性に富み、背もたれには安定した着座姿勢を保持できる「フィットバック機能」があり、長時間の使用でも快適です。座は「自動緩起立機構」により音や振動が軽減されており、ゆっくりとした緩やかな動きで起立収納されるため、開いた座面が座る前に元の起立位置に戻る心配も少なく、高齢の方などにも安心してご利用いただけます。
この背と座は全体を布地で覆う張り包みタイプなので、どの方向から見ても布地の色が美しくホールを彩ります。布地はセルリアンブルー、ロイヤルブルー、スマルトブルー、インディゴブルーの色合いの異なる4色の青色を各席にランダムに配置することで浦富海岸の海面の揺らぎを表現しました。採用された布地(KFシリーズ)は色のバリエーションが多く、色による演出により、この町にふさわしい個性的で美しいホールになりました。海を愛する住民にとって愛着の湧く空間です。

住民が気軽に集い、交流するこの多目的ホールは岩美町の子供たちの投票により選ばれた「いわみんホール」の愛称で親しまれることになりました。
イスの設置の仕方により可変する空間が用途の幅を広げ、以前よりも利用数が増えたと施設側でも好評です。

施設概要

いわみんホールは地域づくりの活動拠点である公民館の中にあり、同施設内には学習拠点として重要な図書館をはじめ、研修室、調理室や和室などがあります。公民館はさまざまな活動や催しが行われる地域住民のためのコミュニティ施設で、建物の前には、大きな広場が広がり、町民を迎え入れます。建物はガラス面から中の様子が見えるような開放感のあるつくりで、だれもが気軽に利用することができます。

居室データ

所在地
681-8501 鳥取県岩美郡岩美町浦富675-1 地図
施主
岩美町役場
設計
株式会社白兎設計事務所
オープン
2019年10月
席数
340
1階 移動観覧席:160席、移動席:140席、2階固定席:40席
関連リンク
中央公民館|岩美町公式サイト