共立講堂(2017年リニューアル)

2018.09.26
学校講堂・多目的ホール

施設説明

共立講堂の歴史

共立女子学園の歴史のはじまりは、明治19年(1886年)に設立された共立女子職業学校に遡ります。女性の専門的知識と高度な技能の修得、また女性の自主性と社会的自立の育成を目指し、専門学校や中学校・高等学校、大学、短期大学を設立しながら、女子教育の総合教育機関として発展を遂げてきました。

学園の象徴的存在である共立講堂が誕生したのは、学園創立から半世紀経過した、1938年のできごとです。外観は縦型の付け柱によるゴシック調に、屋根の形状は切妻型に設計され、当時はモダンな意匠として大きな注目を集めました。規模・設備においても日比谷公会堂と並ぶ大講堂として、学園内の式典や行事だけの使用に留まらず一般の貸し出しも行われたため、「共立講堂」の名は文化の殿堂として現在も大きな評価を残しています。千代田区景観まちづくり重要物件にも指定されました。

共立講堂の改修・リニューアルは、1956年に発生した火災時の再建、2000年の耐震補強工事と内部機能改修工事、2007年の外壁タイルの張替工事と、環境や時代の変化に合わせて行われてきました。2016年には天井・屋根の耐震化に伴う大規模な改修工事が始まり、2017年3月、客席のイスを含めた講堂全体が新しく生まれ変わりました。

共立講堂のリニューアルで入れ替えられた新しいイス

講堂の席数は、1,769席。これまでは約2,000席のイスが並んでいましたが、現代人の体格に合ったゆとりあるイスへの入れ替えを目的に、席数の削減に至りました。学校の講堂に導入されるイスとして、多くの実績を持つ製品です。

座は、堅牢な鋼板プレス性の座枠に、改良を重ねた波形スプリングと、型崩れしない高密度のモールドウレタン成形品のクッション材を使用。ヒトの背骨に沿った三次元カーブを描く背もたれとクッションの組み合わせは、着席するひとりひとりの身体を優しく受け止め、快適な座り心地を創造します。

製品の導入にあたっては、理事長が実際のイスに座って快適さや座面高を確認。女子学生・生徒が主に使う講堂であることも視野にいれ、腰掛けた時にしっかりと足が地面につくよう、ほんの僅かに座面を前方に傾けて調整を図るなど、入念に検討して製作が行われました。講演会など外部からの訪問客にも「快適になった」と評判です。

女性らしい色彩で客席を彩って

客席全体を印象づけるのは、女性らしいカラーリングです。

イスのクッションを包んだワッフル織の張地は、紫味を帯びたピンク色と黒色の糸で製作されました。この織り方によって、表面にはテクスチャーと光沢が生まれます。そして光の当たり方によって異なる色を浮かび上がらせ、複雑で繊細な美しいテキスタイルとして、空間を魅了しています。

2階席通路のステップが丸みを帯びていたり、ピンク色のカーペットが張り分けられていたり、客席の随所に女性らしさを散りばめた共立講堂のリニューアル。イスの背裏の木部にも床の色が反射して、まるで明るい木漏れ日が差し込んでいるかのようです。客席の中で揺れ動く光と色が、歴史を感じさせる、神秘的で幻想的な講堂空間を創り上げています。

居室データ

所在地
101-8437 東京都千代田区一ツ橋2-2-1 地図
施主
学校法人共立女子学園
設計
鹿島建設株式会社
リニューアルオープン
2017年3月
席数
1,769
関連リンク
  • 共立講堂 webサイト