桐朋学園大学 仙川キャンパス
桐朋学園宗次ホール

2021.12.22
学校講堂・多目的ホール

施設説明

音楽部門待望の「桐朋学園宗次ホール」完成

戦後日本の音楽教育をリードしてきた桐朋学園の音楽部門のために、音楽のための「桐朋学園宗次ホール」が誕生しました。これまで専用のホールがなく、在学生から卒業生に至る多くの関係者が完成を心待ちにしていたホールです。
「木が織り成す音楽の場」というコンセプトによりつくられた木造のホールには、天然木のやさしい音響効果により、特別な音色が響きます。フルオーケストラが演奏できる広いステージがあり、コンパクトに設えられた客席から迫力のある演奏を間近で堪能できます。

幅広い観客が集う音楽ホールのイス

桐朋学園宗次ホールは幼稚園児から大学院生まで幅広く利用します。また家族や卒業生など年齢層も多様な関係者が集うため、客席には形態を限定し過ぎない柔軟性が求められました。客席のイスは、離席すると座がはね上がる劇場タイプの固定イス、移動可能な置き式のイス、ベンチタイプなど、あらゆる可能性が検討されました。最終的に選ばれたのが、フレキシブルな利用ができるベンチ状の連結イスです。座り心地を追求し、重視されたのはクッション性の良さです。しっかりと体を支える程よい硬さのクッションが選ばれました。機能的で美しい木質の内装に調和するよう意匠性も重んじられ、イスに用いられた木製の背板や側板も細部までこだわった形状になっています。

フレキシブルな客席を生む工夫

ベンチタイプの客席には、はね上げ式の肘掛けが付いています。パーソナルスペースが明確になり、隣席に気兼ねなく演奏に集中することができます。一方で、さまざまな方の利用のため体格差を考慮した設えも可能で、年少の子どもたちが利用しやすいように、全ての肘掛けをはね上げることもあります。さらに、親子での利用や介助が必要な方には一部の肘掛けだけを上げるなど、利用者の事情に合わせた座席を提供できます。
肘掛けの下端には厚みのあるクッションが付けられました。これは肘掛けをはね上げた時に背のクッションに連続性を生むやさしい工夫です。このクッションにはピアノをモチーフにした桐朋学園宗次ホールのシンボルマークが刺しゅうされており、肘掛けをはね上げた時にだけ現れる、さりげなく楽しい趣向です。
個性的なデザインにより一層このホールに愛着が湧くことでしょう。

さらにフレキシブル性を高めているのは、一部の席をワンタッチキャスター付きの取り外し式にしたことです。イスを外すことで車イスでの利用がしやすい場所をつくることができます。
最前列にはスタッキングチェアを配置し、席数の増減がしやすくなっています。
スタッキングチェアでありながらクッション性に富み、座が自動で起立する機能を備えたモデル:TS-1212が採用されました。自動で起立する座により通路にゆとりが生まれます。また、木製の背板と肘掛け、固定席同色の布地で仕上げたクッションにより、ホールの雰囲気に調和した美しい客席になりました。
桐朋学園宗次ホールは生徒や学生をはじめ、音楽を愛する人々にとって貴重な音楽体験の場所として大切な存在になってゆくことでしょう。

施設概要

桐朋学園には、男子部門、女子部門、そして音楽部門があります。3つの部門がそれぞれの歴史と教育の特色により、良い影響を及ぼし合うなかで、音楽部門は全国に広く音楽教育の場を展開しています。
桐朋学園宗次ホールは高校生と大学生が共に音楽を学ぶことのできる音楽ホールとして、宗次德二氏(CoCo壱番屋創業者、NPO法人イエローエンジェル理事長)の寄付によりつくられました。楽器の弦をイメージしたという外観が特徴の木造建物内にあり、講義室、レッスン室のある地上3階建ての教室棟に併設されています。CLT(直交集成板)により実現された世界で初の木造の音楽ホールです。

インタビュー


木造建築ならではの良さを生かした
音楽学校の学び舎としてのホール

居室データ

所在地
182-8510 東京都調布市若葉町1丁目41−1 地図
施主
学校法人桐朋学園
設計
隈研吾建築都市設計事務所(基本設計・デザイン監修)・ 前田建設・ 住友林業共同企業体(実施設計・施工)
竣工
2021年3月
席数
215
(固定席 188席、スタッキングチェア27席)
関連リンク
桐朋学園大学 Webサイト