奄美市本庁舎
議場

2020.11.17
議場

施設説明

奄美らしさを演出した、市民待望の新庁舎

鹿児島県奄美市は、2006年に名瀬市・住用町・笠利町の合併により誕生。それから13年後の2019年1月、住民待望の奄美市本庁舎が満を持して開庁しました。庁舎のコンセプトは、「奄美の文化が薫る人と環境にやさしい安全・安心な庁舎」です。おおむね震度6強の地震に耐える免震構造を採用した9階建てで、災害時には約200人を収容する、一時避難所としての役割も担います。旧庁舎では分散されていた行政機能を集約し、2階の窓口フロアのみで手続きが可能になるワンフロアサービスも導入しています。

建物には、奄美市の特産物である絹織物の大島紬をモチーフにしたデザインが、随所にあしらわれています。赤土色の外観には日よけの紬スクリーンを、2階の吹き抜け部分の壁面には「紬の木格子」を設置。内装には木材が多く使われており、いたるところに奄美大島らしさを感じることができます。

県産材のシイノキをふんだんに使った、議場空間

議会が開かれる議場空間は、本庁舎の7階に設けられました。議場の天井にも紬の幾何学模様をイメージしたデザインが広がっており、県産材のシイノキを使った壁面や議場机、渋みを漂わせる落ち着いたグリーンの張地の議場イスと相まって、自然豊かな奄美の森を連想させます。

議場は、理事者席と議員席が向かい合っており、議員席の後方には1フロア高いところに空間全体を見渡せる傍聴席が設置されています。この構成は、旧名瀬市の議場を踏襲しました。以前は横に長い空間でしたが、新たな議場は縦に長い空間になり、理事者側と議員側、お互いの顔が見やすくなっています。

は、全て床固定式。イスは、議員席がキャスター付の移動式、議長・事務局長席が床固定式です。机イスの木部には、内装と同じ県産のシイノキを用い、木目が引き立つようクリア塗装で仕上げました。木目と水平または垂直に設けた机の飾り目地は、木材がふんだんに使われた空間を引き締めるアクセントの役割を果たしています。

ワンフロア高い位置で、見やすく聞きやすい傍聴席と記者席

傍聴席は8階フロアに設置されており、議場から2メートルほどの高さがあります。傍聴席のイスの木部にも、シイノキが用いられました。長時間の議会傍聴でも座り疲れがないよう、傍聴席の座は、劇場・ホールの客席のイスと同じ三層構造でつくりあげました。

イスの背もたれは、人間工学に基づいた三次元曲面。着席した際の背骨のラインに沿ったクッションが、座のクッションと一緒に、座り心地をしっかりとサポートします。傍聴席エリアと同じ位置に設置された記者席には、傍聴しながらメモも取れるよう、収納式のメモ台も備えています。

市民の誰もが気軽に傍聴できるよう、車イススペースや、親子傍聴席も設けました。親子傍聴席からはガラス窓越しに議会を覗けるため、「幼児が泣いたり喋ったりして議会の邪魔になってしまう」という心配も要りません。

年末には、議会恒例かつ新庁舎初めての、議員が本場奄美大島紬着用で臨む「紬議会」が行われました。

居室データ

所在地
894-8555 鹿児島県奄美市名瀬幸町25-8 地図
施主
奄美市
設計
内藤・重信設計共同企業体
オープン
2019年1月
席数
56
※ほか、傍聴席63席・記者席4席
関連リンク
奄美市 WEBサイト