順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス新研究棟
講堂

2020.11.12
学校講堂・多目的ホール

施設説明

順天堂大学の新研究棟に新たな「講堂」が誕生

2019年4月、順天堂大学の創立175周年を記念した「順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業」の一つである、新研究棟(A棟)Ⅰ期が完成しました。施設の低層階には、学会のほか講演会や講義にも利用できるようにさまざまな機能を盛り込んだ講堂がつくられました。
講堂は、奥行きの浅い台形の空間です。ステージから広がるように最大525席の階段形式の座席が設けられています。
講堂の正面には左右の壁まで広がる壮大な全面マルチモニター(4Kモニター55型64面構成)があり、資料や画像を大きく複数展開できます。モニター上部のガラス部分からは外構の植栽の緑が見え、空間を豊かに演出しています。

使いやすさにも考慮した講堂イス

客席はどの席に座ってもステージが見やすいよう、段差330ミリメートルの勾配になっています。大きな段差は、着席時に前に座っている人の頭が邪魔にならず、良好な視界をつくりだします。段差のある通路をスムーズに行き来するため、不特定多数利用のバリアフリー仕様を配慮し、通路側のイスには手かけ棒を設置しました。階段を降りるときにも握りやすいよう、上部を丸く削った手かけ棒は、安全な通行に役立ちます。

着席時の身体にフィットする3次元局面の背と座を用いた講堂イスには、全席に収納式テーブルを設けました。最前列の席は回転式のテーブルを肘掛に取付け、2列目以降は引き出し式のテーブルを前席の背もたれの背面に設置しています。引き出し式のテーブルは背もたれに沿うように収納されており、利用時に引き出して使用します。テーブル利用時には、収納部分に隠れていた照明とコンセントが使えるため、暗転時の筆記や、ノートパソコン等の利用にも便利です。講演会中でも騒音を立てないようテーブルにはダンパー機構を付け、収納操作の途中でテーブルから手を離しても静かにゆっくりと自動的に収納されるようになっています。

各席のテーブルの間には、参加者全員コミュニケーションがとりやすいよう、マイクを設けました。ボタンを押すとマイクがONになるため、聴講者が発言する度にハンドマイクを受け渡す必要がなく、講演者と聴講者、聴講者同士のスムーズなコミュニケーションを実現します。マイクを設けることで、聴講者はただ聴くだけではなく講演者への質問や意見を投げかけることができ、より活発な議論につながります。

「お茶の水」をイメージさせるカラーコーディネーション

木の温もりに包まれた講堂のテーマは、お茶の水の「水の流れ」「智の泉」。真っ直ぐな縦ラインが特徴的な壁面の意匠は上層階から講堂へ流れ込む水を、その先にある床面は、たゆたう水を連想させるような模様の青色のカーペットが智の泉をあらわしています。

イスで最も大きな面積を占める張地には、「スクールカラー(江戸紫)」をイメージした青みを帯びた紫色が選定されました。小さな三角形を四つ組み合わせた格子状の柄は、オレンジ色のドットをアクセントとして中心に配した、凹凸感のある織物です。糸の色と深みのある凹凸感が、照明によってさまざまな表情を生み出し、肘掛の天然木とも相まって知的で爽やかな印象を演出しています。

施設概要

順天堂大学は、1838年(天保9年)に開学した蘭方医学塾(和田塾)を起源にもちます。現在は「健康総合大学・大学院大学」として、医学部を中心とした6学部3研究科6附属病院で構成され、5,000人以上の学生が日々学んでいます。
順天堂大学のメインキャンパスである本郷・お茶の水キャンパスでは、創立175周年を記念した「順天堂大学キャンパス・ホスピタル再編事業」を進め、順天堂大学のこれからを支えています。
 

居室データ

所在地
113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 地図
施主
学校法人順天堂
オープン
2019年4月
※Ⅰ期工事
席数
525
プロジェクト・アーキテクト、基本設計、工事監理
株式会社日本設計
実施設計
鹿島建設株式会社
関連リンク
順天堂大学 WEBサイト