陸前高田市コミュニティホール
シンガポールホール

2018.05.15
多目的ホール(可動席)

施設説明

シンガポールからの支援によって建設された「陸前高田市コミュニティホール」

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市。市の惨状を知ったシンガポール共和国は、募金を集め、多大な支援を行いました。そして、シンガポール赤十字社からの寄付金などによってつくられたのが、地域住民のためのコミュニティ施設「陸前高田市コミュニティホール」です。

2015年5月11日、震災から4年2ヶ月の月日を経て、オープンしました。陸前高田市コミュニティホールは、広場との一体的活用を目指し、円形の広場を囲むようにつくられました。広場の向こう側にはコミュニティホール後に建設された復興住宅が隣接し、市内全域から集まった住民のコミュニティの場として、日々賑わいを見せています。

建物は、多様な催しや活動を行う多目的ホールと、サークルや各種団体の集会、生涯学習等を行うコミュニティ機能を持つ居室に分け、それらを大屋根で繋いでいます。訪れる人をスムーズに迎え入れる大屋根の中央には、展示ギャラリーや交流スペースと一体となった開放感のある吹き抜けのエントランス空間が広がります。

多用途に活用できる移動観覧席を引き続き導入

震災前、さまざまな市民活動に利用されていたのが、陸前高田ふれあいセンターの多目的ホールです。市民会館よりもコンパクトな施設のため、市民が気軽に利用できるホールでした。そのホールで20年近くものあいだ使用されてきたのが、電動で客席を出し入れできる移動観覧席です。リモコン操作で客席を展開収納できる移動観覧席は、客席空間や平土間空間を容易につくりだすことができ、ホールの多目的活用に役立ってきました。この移動観覧席の評価が良かったことから、新たなホールにも同製品の導入が決定しました。

移動観覧席の収納方式はシンプルな壁面収納式、観客席を使用しない時はホール後方の壁面に収納されるタイプです。収納時は、壁面と揃えたデザインの化粧パネルを施したことによって、移動観覧席の存在を感じさせないすっきりとした空間をつくりあげます。リモコンのボタンを押して、約2分半で客席が展開。幕板やステップを取付ければセッティングが完了です。

移動観覧席の通路は2階につながっているため、客席が展開した状態では、2階からのアクセスも可能です。移動観覧席は通常、下段からの動線がメインですが、2階とつなげることで上段からアクセスできるようになり、イベント中でも観客の前を横切らずに着席することができます。移動観覧席と2階をつなぐステップや扉にはセンサーが付いているため、ステップが外され、扉が閉まった状態でないと移動観覧席の操作ができない安全装置が付いています。また、取扱説明を表示するリモコンの大きな画面には、エラー時の説明も表示されるため、トラブルが起きた時も慌てずに対処できます。

移動観覧席の搭載イスと張地を揃えたスタッキングチェアを前方並べれば、最大330席のホールとして、更に多種多様なイベントに利用できます。

オープンから3年が経った今日も、陸前高田市民の笑顔をつくりだしているホールです。

居室データ

所在地
029-2205 岩手県陸前高田市高田町字栃ヶ沢210-3 地図
施主
陸前高田市
設計
株式会社丹下都市建築設計
オープン
2015年5月
席数
330
※移動観覧席含む
関連リンク
  • 陸前高田市コミュニティホール webサイト