教室の「狭い」問題を解決する、ゆとりある通路スペースのための机とイス

2019.01.24
事例特集

教室・講義室では、学生・生徒が集中して勉学に励めるよう、十分な大きさの机やイスが必要となります。一方で、教室内の安全と快適のためには、ゆとりある通路を設定することも欠かすことのできない課題です。面積の限られた教室空間で、必要な席数を確保しながら余裕を持つためには、どのような机とイスを選ぶのか、その机とイスをどのように配置するのかがキーポイントとなります。今回は、学びの環境に適したサイズの机とイスを導入しながら、空間にゆとりを生み出した高校と大学をご紹介します。

01収納式テーブルと雁行配置ですっきり軽快な教室に

東京都立第三商業高等学校
視聴覚室

「三商」の愛称で親しまれる東京都立第三商業高等学校は、1928年開校と古い歴史を持ち、東京下町の名門商業高校として名前を知られています。2014年1月、約1年半の工期を経て、新実習棟が竣工しました。1学年全員が集合できる居室として新たに設けられたのが、110席のイスが並ぶ視聴覚室です。

授業だけでなく、学校説明会や同窓会など、校外からの来客を案内する会場の役割も果たす視聴覚室には、一般的な教室家具よりも高級感のある、劇場仕様のイスが選ばれました。

教科書やプリント資料を置くためには机が必要でしたが、限られたスペースで1学年全員分の席数を確保するため、収納式のテーブルの導入が決定。必要な時だけ引き出して使えるため、固定式の机を置くよりも、教室の席数を多く確保することができます。また、テーブルを納める収納ボックスは設けず、テーブルをイスの背裏に直付けしました。これによって前の席との間隔も広くなり、通り抜けがしやすくなっています。

この居室で印象的なのは、1席ずつやや斜めになった、「雁行配置」と呼ばれるレイアウトです。当初、弧を描くよう曲線状の平行配置が検討されていましたが、端の席と壁側の通路幅が狭くなってしまうため、設計事務所を主体に再考。その結果、各席を斜めにずらして設置することで通路部分と壁側を平行にし、通路幅を保って最大限の席数を確保するという、雁行配置が採用となりました。機能性はもちろん、空間全体をすっきりと軽快な印象に仕上げています。

02席と席の間をスムーズに通り抜けできる新製品はパソコン授業にも対応

九州工業大学 飯塚キャンパス
AV講義室(リニューアル)

九州工業大学は、1986年、日本で初めての情報工学部を設立しました。以来、高度な情報処理技術を学ぶ場として、注目を浴びています。

2018年3月にリニューアルした共通教育研究棟AV講義室では、パソコンを使った授業が行われています。リニューアル前は、室内中央の固定席で講義を受けた後、壁際にあるパソコン用の机・イスで実技を行う形で進行していたため、講義中に学生は席を移動する必要があり、また席は5人掛けで、中央に着席した学生はスムーズな離着席や移動が困難だという声が上がっていました。また、席と席の間を通り抜けながら学生へ講義指導を行う教師にとっても、スペースが不十分でした。

「教室スペースを拡張することなく通路幅を広げ、席への出入りもしやすくしたい」。そんな要望を実現したのが、独立脚タイプの新型講義用机イスによる改修です。

選ばれたSD-777シリーズは、空席時のイスの背板から机端までの間隔を従来製品よりも35ミリ詰めることによって、人が通り抜けるために十分な通路幅を確保しました。これによって、前後左右にぶつかるストレスを感じることがなく、席と席の間をスムーズに通り抜けることができます。教師にとっても、講義中の机間指導が行いやすくなり、より充実した指導が可能になりました。

そして机には、パソコンを取り付けることのできるコンセントとLANケーブルを完備。これにより、改修前に設置されていたパソコンスペースが不要になり、教室全体に広いゆとりも生まれています。

03スイングアップ機構で体格の良い学生にもゆとりを提供

大阪体育大学
講義室(リニューアル)

大阪体育大学の緑豊かな広々としたキャンパスには、各種目に特化した六つの体育館や、野球場、陸上競技場、サッカー場、ラグビー場、テニスコートやハンドボールコートなどが揃っています。体育大学ならではの充実した設備は、運動するためのスペースだけに留まらず、健康科学や身体の仕組みなどを学ぶ講義室にも必要となっています。

学内には筋肉質で体格が良い学生が多いため、ゆとりある快適な講義室づくりは、大きな課題。その課題を解決するために選ばれたのが、講義用固定机イスSD-331シリーズでした。

SD-331シリーズは、イスの座面と背もたれが大きく広いため、体育大学の学生の身体も、しっかりと支えます。また、席と机の間を通り抜けたい時には、イスを背もたれ側に押し込むことができ、通路スペースも約6センチ広げることができます。固定タイプの席でありながら、通り抜けの際に融通が利くこの機能が評価され、採用に至りました。

立ち座りのしやすさも、SD-331シリーズの特長。着席者の動きに追従するように座面が動くスイングアップ機構を搭載しているため、離着席を自然に、軽い力で行うことができます。座面が着席者の臀部から腿にぴったりと接した状態で動くため、座面を跳ね上げるタイプのオーソドックスな製品と比べて、イスに着席する時の腿の周囲を広く取れます。また、座の開閉時に天板に当たる心配もないため、ゆとりを確保しながら、天板を大きく設定することも可能なのです。

体の大きな学生もしっかりとサポートできる体制を整えながらも、十分なスペースを生み出しています。

※この記事は、過去に掲載した納入事例記事をテーマごとにご紹介しています。

講義机イストップ

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