体育館を講堂に、講堂を体育館に!一つの空間で二つの居室を創り上げる移動観覧席

2019.01.10
事例特集
※2023年5月より、ディバイダ―はディバイディングカーテン(愛称:SIKIRUTO)に変更しております。
 ここでは、記事公開時の呼称をそのまま使用しております。

体育館や講堂は、体育の授業や全体朝礼・学年集会、入学式や卒業式をはじめとしたの式典などを行う場所として、学校生活に欠かせない空間です。また、学校施設の中でも最も広さを必要とする空間でもあります。なくてはならない空間である一方、大きな二つの居室を校内に構えることは、限りある敷地面積やコストなどの条件面で難しいケースもあります。そんな課題の解決策として、近年、一つの広い空間を体育館・講堂に使い分ける学校が増えてきました。フラットな平土間空間を必要とする体育館機能と、数百単位の客席を必要とする講堂機能は、移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)を導入すれば、速く・簡単に両立が可能。スペースの効率化を図るだけでなく、二つの居室を個別に設ける際に比べて新築・改修を問わずコストダウンも実現できます。今回は、全国の都道府県の中でも切実な敷地問題を抱える東京23区から、空間の多目的活用を図った高校・大学の体育館をご紹介します。

01移動観覧席×収納式ステージ×スタッキングチェアで広がる空間

明治大学付属中野中学・高等学校
第二体育館兼講堂

2013年5月、明治大学付属中野中学・高等学校の創立80周年の記念事業として、全面的な校舎の建て替えがスタートしました。老朽化が顕著だった旧講堂の後継として誕生したのが、第二体育館兼講堂です。旧講堂から新しい講堂を建てるにあたっては、講堂としての機能に留まらず、体育館としての役目も果たす「空間の多目的活用」が目的に掲げられました。これを可能にしたのが、全19列912席の大規模な移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)、そしてスタッキングチェア、収納式の電動ステージです。

移動観覧席を展開し、スタッキングチェアを並べ、ステージを展開すると、空間は1,000人以上の客席を有した式典・イベント会場へと変わります。

明治大学付属中野中学・高等学校では、スポーツも盛んなことから、移動観覧席に前方3列144席のみ展開し、4列目以降は壁面として収納された形の「観戦モード」を搭載。展開した3列は、各種競技コートとの観覧席として真価を発揮する位置関係です。

そして移動観覧席の全ての列を収納することで、バスケットボールのコート2面分が確保できる平土間空間が生まれます。部活動や体育の授業など大人数が運動する時でも、十分な広さです。

02電動式の移動観覧席で様々なイベントをおこなえる体育館に

朋優学院高等学校
第1体育館

朋優学院高等学校は、1946年に中延学園高等女学校として発足しました。2010年、耐震工事を繰り返しながら、半世紀ものあいだ大切に使ってきた校舎の全面建て替え計画がスタート。体育棟にはバスケットボールやバレーボール、バドミントンなどのスポーツに加えて式典も開ける広く天井の高い第1体育館と、武道やダンスのできるコンパクトな第2体育館が並んでいます。

これまでの校舎では、大人数を収容する講堂空間がなかったことから、入学式や卒業式などの式典は、外部のホールを借りて行なっていました。入学する生徒がこの先3年間学ぶ、また卒業する生徒が3年間学んできた思い出深い校舎で式をおこなうことができるように、また、他にも様々なイベントを開催できるようにという学校の強い思いを受け、導入されたのが移動観覧席です。体育館としての機能を果たしながら、式典やイベントなどの必要に応じて、電動操作で簡単に客席を設営することができます。

入学式や卒業式では、移動観覧席には保護者が座り、生徒はその前方に並べたスタッキングチェアに座ります。階段状に客席が広がる移動観覧席は、段差があるため視界が良く、保護者も子どもの晴れ姿、その表情までしっかりと見ることができます。

03超大型電動間仕切と組み合わせて、さらなる多目的活用を実現

高千穂大学体育館

高千穂大学は、2013年より杉並キャンパス再構築計画として新校舎の建設に着手。新体育館は、2017年1月に正門からメインストリートを進んだ突きあたりに誕生しました。

新しい体育館で行う「空間の多目的活用」は、講堂機能と体育館機能を切り替えるだけに留まりません。広い空間を仕切ることによって二つの空間としても使用できるよう、移動観覧席と合わせて超大型電動間仕切「ディバイダー」を導入しました。また、客席を展開して講堂として使用する際にステージと客席との距離を簡単に調整できるよう、前方へ動かすことができる全体移動式の移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)が選択されました。

この全体移動式のロールバックチェアースタンドは電動操作で階段状の客席300席を動かすことができるため、例えば、ステージの近くにイスを設営したい時、ステージの前にスタッキングチェアをひとつひとつ並べた場合に比べて、手間と時間を大幅に短縮します。また、階段状にイスが並んでいるため、ステージを見やすく、平土間スペースにスタッキングチェアを並べるよりも、鑑賞環境の向上が図れます。

超大型電動間仕切「ディバイダー」は、体育館の中央に設置しました。大型スクリーンの役割も果たすため、パブリックビューイングや映像と組み合わせたイベントも見込めます。竣工後まもなく行われた、学園内に併設する幼稚園の卒園式では、園児全員が並んでも空間に余裕があるため、ディバイダーで分割して空間の片側のみを利用。平場に園児が並び、移動観覧席が保護者席として使われました。

※この記事は、過去に掲載した納入事例記事をテーマごとにご紹介しています。

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