スタジアム・アリーナのリニューアルvol.01 通路を広く、イスを大きく改修するためには?

2018.10.25
製品特集

スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む手段の一つとして「観るスポーツ」の需要が急速な高まりを見せています。それに伴い、スタジアムやアリーナの観覧席・観客席にも変化が訪れています。大規模スポーツイベントを目前に改修やリニューアルを行ったスタジアムの事例を交えながら、観戦環境のプレゼンスを高めるイスをご紹介します。スポーツをただ見るだけでなく、エンターテインメントとして楽しんで「観る」ために必要な「快適な観覧席」とは。

「スポーツは、見るものではなく、するもの」。これが、かつての日本のスポーツに対するスタイルでした。スポーツは「する」ことが面白い、その喜びや感動は「する」ことによって得られるものだと考えられてきたのです。

現在では、多様化する現代社会を背景に、「観るスポーツ」の需要が急速な高まりを見せています。「観る」ことも、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む手段の一つとして捉えられるようになってきたのです。

それに伴い、スポーツを観る時のイスの在り方にも、大きな変化が現れています。新築のスタジアムやアリーナはもちろん、既存のスポーツ施設でも、観戦中の「居心地」を高めるために、新しい観覧席づくりを始めているのです。

スポーツをただ見るだけでなく、エンターテインメントとして楽しんで「観る」ために必要な、「快適な観覧席」。

大規模スポーツイベントを目前に改修工事を行ったスタジアムの事例を交えながら、観戦環境のプレゼンスを高めるイスをご紹介します。

スタジアムのイスは大きく分けて2種類、ワンピースタイプとツーピースタイプ

スポーツ施設の観覧席は、一般席からVIP席まで様々な種別がありますが、それらのイスは大別すると「ワンピースタイプ」と「ツーピースタイプ」に分類できます。

「ワンピースタイプのイス」とは?

「ワンピースタイプのイス」とは、背もたれと座が一体に成形されたイスのことです。

コトブキシーティングのワンピースタイプのスタジアムシートは、丸く緩やかなフォルムが特徴的。人間工学に基づき、背や腰にフィットするカーブをつくりあげました。全体に丸みを帯びており、着座時に通行者が通り抜ける際も、足をイスの下に引き込みやすい形状です。

ワンピースタイプのイスは、イスの座が固定されているため、人が座っている時も、座っていない時も、イス全体の奥行に変化はありません。

「ツーピースタイプのイス」とは?

「ツーピースタイプのイス」とは、背もたれと座がそれぞれ別のパーツとして成形されたイスのことです。背と座が分かれているため、劇場のイスのように座だけを動かすことができます。

空席時には、イスの座が跳ね上がって背もたれと平行の位置に納まります。着席する時には、イスの座が床と水平になる位置まで下ろします。

ワンピースタイプのイスと異なり、イスの座が固定されていないため、イス全体の奥行は空席・着席時によって異なります。

背もたれと座をそれぞれ成形するため、ワンピースタイプよりも形の自由度が高く、ヒトの上半身と下半身それぞれの形状に沿った綿密な設計を施すことができ、座り心地も高まります。

通路を広く、イスを大きく取れるのはツーピースタイプ!

イスそのものを比べると、形や機能性、座り心地などに差があります。どちらのイスを設置するかによって大きな影響が生じるのは、前後の席と席の間にある通路の広さです。ツーピースタイプのイスは、この通路をより広く取ることができるのです。

不特定多数の観客が集まるスタジアムでは、火災や地震などの災害時・非常時にスムーズな避難ができるよう、「イスの背の間隔(前後間隔)は、750mm以上とする」などの法規が定められていることがあります。(東京都の火災予防条例及び大阪市の火災予防条例より)

ワンピースタイプのイスは、定められた前後間隔内で充分な通路寸法を確保するために、自ずと座面の奥行が狭くなりますが、ツーピースタイプは座が跳ね上がるため、座面の奥行はこの法規の影響を受けません。空席時は通路スペースを充分に取り、観客が座る時にはゆったりとした座り心地を提供できます。

海外のスタジアム・アリーナでは、ツーピースタイプの観覧席が圧倒的に普及しています。それを踏まえ、国際標準に合わせたリニューアルを進めるスポーツ施設が日本でも増えています。

脚部を再利用して、環境に優しく工期を短くスタジアムをリニューアル

「ワンピースタイプのイスをツーピースタイプに変更して、観覧席の満足度を向上させたい」、そんな時に課題になるのは、改修工事に伴って施設を休止しなければならないという懸念です。

施設の稼働率をできるだけ維持しながら、快適な観覧席に生まれ変わるために、コトブキシーティングでは、既存イスの脚部を再利用したリニューアルを提案しています。

コトブキシーティングのワンピースタイプのスタジアムシートは、2本の連結管の上に、イス本体が搭載されています。この連結管を利用して、イス本体だけを交換することで、既存イスの脚部を撤去する時間・新たなイスの脚部を設置する時間を大幅に短縮することができるのです。

Before : ワンピースタイプのスタジアムシートが並んだリニューアル前の埼玉県営大宮公園野球場。

廃棄部材も減るため、環境にも優しいリニューアル。新しい脚部のコストも削減できます。既存のワンピースタイプと同じ間口のツーピースタイプを採用すれば、席数を減らすことなく、快適性を向上させることが可能です。

After : ツーピースタイプのスタジアムシートBLM-9000にリニューアルした埼玉県営大宮公園野球場。脚部は再利用。通路は広く、イスは大きくなりました。

日産スタジアムは約7万席の客席すべてが、3年間をかけて改修予定。1層目スタンドは2018年3月にリニューアルしました。

国際標準の施設づくりに貢献するツーピースタイプのスタジアムシート

コトブキシーティングのスタジアムシートは、ツーピースタイプのイスのラインナップも豊富。「観るスポーツ」の機運が高まる現代に合わせたイス選びで、スポーツ観戦への楽しみを広げませんか?

座り心地は、コトブキシーティングのショールームでもお試しいただけます。お気軽にお越しください。

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