2019年12月3日、株式会社ブックエンドより、弊社企画・監修の書籍『劇場建築とイス:客席から見た小宇宙 1911-2018』を刊行いたします。
本書は、日本で初めて公共施設家具の製作を手がけた弊社が、100周年事業の一環で社内に蓄積された記録写真や資料をアーカイブ化するなかで生まれました。記念すべき最初の製品は、関東大震災直後の1923年に、フランク・ロイド・ライト設計による帝国ホテルの演芸場に納めた客席でした。翌1924年に帝国劇場(設計・横河民輔)のために1,700席を製作。これが100年にわたる劇場イス製作の始まりとなりました。戦後まもなく、廃墟となった街に映画館や小劇場が生まれ、日本に文化の灯火が再びともり始めると、1951年に戦禍から再建された歌舞伎座(設計・吉田五十八)のために、劇場専用の連結イス1,500席を開発。その後も、客席イスの製作を通じて日本の劇場建築の現場に関わり続けてきました。本書には、1911年竣工の帝国劇場から2018年に竣工された事例まで、日本を代表する約60の劇場・ホールの写真を収録しています。その多くは、客席イスの納品時に記録として撮影されたものです。結果的に、地域や種類、設計・施工者の枠を超えて、日本の劇場建築における歴史的変遷や、新しいデザイン潮流を俯瞰する貴重な資料となっています。
巻頭言
「まもなく開演」 池田 覺
日本の劇場史論
「戦後の劇場と照明設備」 吉井澄雄「日本の劇場・ホールの時代的変遷」 伊東正示
エッセイ
「劇場のイスの記憶」 串田和美「魔法の道具」 内藤 廣「舞台芸術の鑑賞を支える大切な装置」 草加叔也
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