2006年の開館20周年を機に改修工事がおこなわれたサントリーホール。「客席のユニバーサル対応」はその大きなテーマでした。車イスを利用されている方も同じイスに座って音楽を鑑賞したい、という願いを実現するために、イスのデザインはそのままに、車イス対応の席を改修前の4席から18席へと増席。またホールのホワイエには、スロープと段差を解消するリフトが設置されたことで、車イスのままでの入場が容易にできるようになっています。
段々畑のように段差があるホール内では、車イスから客席のイスへ乗り移ることが困難です。その問題を解決したのが、客席1階の通路側に新規導入した電動昇降回転イスでした。まず、リモコン操作でイスを上昇させ、その後、イスを180度回転させます。イスに座る際の床高さが、本来であれば1段高い後列に揃うため、ステップを降りる動作を省き、車イスからのスムーズな移乗を実現できるのです。
「素晴らしい音響とホールの雰囲気はそのままに」をコンセプトにしたサントリーホールの客席は、竣工当時の日本で初めて取り入れられたヴィンヤード形式。全2,006席がぶどうの段々畑状にステージ(太陽)を向いています。イスの張地はこのヴィンヤード形式にちなんで、ワインレッドのぶどう柄にデザインされました。