札幌文化芸術劇場 hitaru

2018.10.30
劇場・コンサートホール

施設説明

札幌の新たな交流拠点を目指す、複合文化施設「札幌市民交流プラザ」

2018年10月、複合文化施設「札幌市民交流プラザ」がオープンしました。札幌の四季折々のイベントで賑わう大通公園を臨める、札幌市の中心部に位置しています。

施設は、国内外の優れた舞台芸術やさまざまな公演を鑑賞できる「札幌文化芸術劇場 hitaru」、市民の文化芸術活動をサポート・支え育てていく「札幌文化芸術交流センター SCARTS」、人々に仕事やくらしに役立つ情報を提供する課題解決型図書館「札幌市図書・情報館」の三つで構成されています。

札幌文化芸術劇場 hitaruが誕生

札幌文化芸術劇場 hitaruの柱となるのが、北海道初となる多面舞台型の劇場です。

客席を背にして舞台右側(上手側)に主舞台と同程度の広さの舞台空間があるほか、舞台左側(下手側)と正面奥側にも十分な舞台空間があります。それぞれのスペースに大掛かりな舞台装置を置いて次のシーンに備えることができるため、場面転換がスムーズです。本格的なオペラやバレエ、ミュージカルや演劇などの大型の演目にも対応ができると、期待が寄せられています。

客席は、3層のバルコニーで構成されたプロセニアム形式の2,302席。2018年9月末に閉館したニトリ文化ホールの後継施設として、同規模の席数を備えています。どの席からも鑑賞しやすい空間設計にこだわり、背もたれの角度や配置を細かく検証しながら、客席づくりが進められました。

1階席のイスと上階のイスとの背もたれの角度の差は、最大8度。低層階のイスはしっかりと体を預けられるよう、また高層階のイスは観劇時の舞台を見下ろす目線に合わせて背もたれを起立させました。また、同じフロアの中でも席によって微妙に角度が異なります。舞台を囲む緩やかで繊細なアール配置も、見やすさにこだわった結果です。全ての場所で横1列に連ならせることなく、ステージに正対するように少しずつ向きをずらした「雁行配置」や、奇数列と偶数列の席の位置をわずかに違えた「千鳥配置」を取り入れています。

北海道産の素材を使い、北の大自然と伝統をモチーフにデザインしたオリジナルのイス

イスの座り心地は、劇場のスタッフが徹底的にこだわったポイントです。設計時には、硬度の異なる様々なウレタンを用意し、モックアップで座り比べも実施。体に優しいシートラインにもこだわり、男女や体格に偏りが生じないよう、多くのスタッフが参加しました。

イスの素材には、北海道産の天然木かば材を使用しています。背板は北の大地に根を張るように力強く直線を、肘掛と脚部は着席する人を包み込むかのような優しいカーブを描いた、緩急のある繊細なデザインです。

肘掛の先端部は、面取りを施した繊細な形状です。掌が最も接する部分のため、触り心地の柔らかさ・優しさにこだわって、試作を何度も重ねて確認しながらつくりあげました。

文化芸術空間にふさわしい深みのある色彩感を大切にした特注張地

クッションの張地は、自然の風景の中に垣間見える文化や伝統を表現しました。

本格的な劇場に相応しい華やかな赤い張地は、遠くから見ると、イスの張地全体にグラデーションがついているように見え、雄大な北の大地やその風景を思わせます。一方、近づいてみると、北海道の風土や伝統文化を感じさせる文様をモチーフにした柄が、のびやかに横たわる1本のラインのように織り込まれていることがわかります。青・緑・黄の緯糸が織り込まれた玉虫色の張地の中に浮かび上がる、奥行と深みのある色彩感が特徴的です。

札幌の中心に佇む劇場にふさわしい、スタッフの想いと北の大地が凝縮された、いま注目の新施設です。

居室データ

所在地
060-0001 北海道札幌市中央区北一条西1 地図
施主
札幌市
設計
日建設計・北海道日建設計JV
オープン
2018年10月
席数
2,302
関連リンク
札幌文化芸術劇場 hitaru WEBサイト
テキスタイルデザイン:札幌文化芸術劇場 hitaru | 株式会社FABRIKO WEBサイト

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